悲しいね

 人間は一日の出来事を忘れながら生きる。

また、生活するのにあたって必要な情報も記憶する。

…はずなのに。


 今までの人生で起きた体験や感じたこと全てを鮮明に思い出す。

他人の倍以上している辛く悲しい経験。それを忘れる事が出来ないのは、まさに心を痛めつける立派な凶器である。

恐怖、後悔、不安。

運命というのは残酷だ。この性質たちは他人より多くの傷を負う。


「君も上手なんだけど、やっぱりあの子の方が…」

「何というか、君のは普通なんだよ」


あの眼差しで見られない為に常に誰かの機嫌をとって、自分のことは後回し。そのくせいつだって僕ばかり比べられてさ。

一人で環境を変えることは不可能。こんな人生辞めちまえ。

何故続けなくてはいけない?僕に必要なのは自分が望む未来だ。僕が決めたことだ。

『もういい、向こうへ行け!俺から離れろ!!』


 僅か六畳程の窮屈な部屋、コンクリートで作られた壁。鉄格子。

どうやら僕は意識を失っていたらしい。


「やあやあ蒼くん、目が覚めたかい?」


背が高く、知的な雰囲気の青年は空中に浮いていた。

彼が普通で無いことを察した途端少しだけ親近感がわくが、僕は何も答えず目を背けてしまう。

「カメラアイ―。一度でも見た物を忘れることが無い…か。そうかそうか、辛かったね」


僕が飛び降りたあの時刻、偶然通っていた神影と正面から衝突。

お互いが巻き込まれる形で時空の歪みが発生し、パラレルワールドに移動した。

…駄目だ、僕には理解ができない。

「言葉通りの意味を受け取ってくれ」


続きを書く…かも?

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