別視点

 「川山かわやま りょう…」

プログラムに異常でも起きてしまったか、異世界を自由に移動できる権限など与えていない。

世界の管理人を気取っているが、所詮コードはコード。


 しかし、気づかぬ間に世界は分裂していた。

両目の色が違うばかりに化け物扱い。

これが本当の異世界か。世界の醜さを痛感したよ。


 ―しまった、何という速さだ。

彼らの居場所が特定できない。この個体の回転速度を上げすぎたのが間違いだった。


『神影君、だから言っただろう!?こいつ等に勝手に移動されると困るんだよ!!』

「すみません、今すぐ取り掛かります」


そうだった。早く元の世界に戻さねば。

厳しい規則に怒号の嵐。うるさいうるさいうるさい。

消滅を許可する。消滅を許可する。どうして実行されない!


 「ははは。そんなに焦るからだよ」


紛れもないその姿、君は笑顔で立っていた。

僕は恐ろしくて仕方が無いんだ。


「君はどちらなの?」

「そんなの聞かなくても解るだろう?」


目の奥に宿っているその感情、そこまで僕は解らないよ。

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