揚げ足取り

追放

 僕と背格好が似ている人が立ち止まっている。

君はすぐに消えた。僕の目の前で忽然と姿を消した。


「どうして?」


問いかけても無駄だ、彼は既にこの世に居ないんだ。

彼をどこにやったって?面白い事を訊くね。パラレルワールドに送り込んだよ。

この世界線で言うところの神隠し、異世界というところかな。

安心したまえ。君に興味なんて無いよ。


仕方が無いだろう。我々に手が付けられない程暴れまわった。

ここよりずっとずっと、文明が進んだ世界の人間に託したまでだ。


彼の代わりの人物を用意している。

顔や体格、声の特徴。話し方、趣味や特技。

見分けがつかない程似ていて、気がつく人間は居ないだろう。


同じ個体が地球上に存在してはならないので、彼がまだ生まれていない世界線へ。向こうの世界では医学の研究を進めている。


身近な人が別の何かと入れ替わっていたら、あなたは気づけますか。

知らない方が幸せなこともあるかもしれません。

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