第124話ハッピーエンド

扉が開かれると、中からは大きな歓声が広がった!


「行くよ…」


ブライアン様が優しく微笑み声をかける。


私は頷くとブライアン様と一歩一歩噛み締めるように前に進んだ。


みんながこちらを見つめる中真ん中の道を真っ直ぐにブライアン様と歩いていく。


「リナさんおめでとう!」


「リナちゃん!おめでとう!」


祝福に来てくれた見知った顔が笑顔で声をかける。


修道院のみんなに、騎士の人達、街で暮らしてるうちに知り合いになった人達…セーラ様とフェニックス王子の姿もあった。


「リナさん!お父様!頑張って!」


先程会ったフレア様にエーデル様。


「おめでとうッス!」


シモンさんに、ラキさんが力強く拍手をしてくれている。


そしてその先には騎士の正装姿に身を包んだルーカスさんが幸せそうに微笑んで私が近づくのを待っていてくれている。


「ルーカス、リナを頼むぞ」


ブライアン様がルーカスさんに声をかけると私の手を取ってルーカスさんに渡した…


「はい」


今度はルーカスさんの腕を掴む…ブライアン様とは違った安心感がそこには合った。


二人で壇上の方にゆっくりと進むと…


「いつも可愛いけど、今日は特別に綺麗だ…」


ルーカスさんが囁いた…


チラッと目を向けると幸せが溢れそうなほど嬉しそうに笑っている。


「ルーカスさんも素敵です…」


騎士の服がやっぱり一番似合っていると改めて思った。


「リナはかわいいし、ルーカスはかっこいいよ」


アリスちゃんが私達の声が聞こえていたのか後ろから声をかけてきた。


「アリスも可愛いぞ」


ルーカスさんに褒められてアリスちゃんが照れていると、シスターの前に到着した。


アリスちゃんはベールをそっと置くとブライアン様の元に戻って行った。


二人でシスターに視線を送ると…


「ルーカス、リナ今日はおめでとうございます。お二人の結婚式の司祭を務めさせていただきます」


私はどうしてもシスターに司祭をお願いしたく頼んだのだった。


「誓いの言葉をどうぞ…」


シスターに促されて私達は声を合わせて誓いの言葉を言った。


「私達は、皆様の前で結婚を誓います。

これから先 健やかなるときも病めるときも 喜びのときも悲しみのときも 富めるときも 貧しいときも お互いを愛し 敬い 共に助け合い 命ある限り真心を尽くすことを誓います……そしてふたりでアリスちゃんを必ず幸せにします」


二人で振り返りアリスちゃんを見つめる。


アリスちゃんは自分の前を言われて少し驚いた顔をするが嬉しそうに微笑み返してくれた。


シスターは優しく微笑み私達を見つめると…


「ここにおふたりが夫婦となる事を認めます。おめでとう」


シスターの言葉に会場からは盛大な拍手が起こった!


「ルーカスさん、指輪です」


するとターニャ達が脇から指輪のケースを持ってきてくれる。


ルーカスさんはお礼を言って指輪を受け取ると私の手を取った。


「リナ、やっと今日という日が迎えられた…アリスと君をずっと大切にするよ」


ルーカスさんからそっと指輪をはめられると、私も少し大きな指輪を手に取った。


「私も力の限りおふたりを守り支えていきます。あなたの妻にしてください」


たくましいルーカスさんの指に指輪をはめた。


そのままルーカスさんに手を掴まれるとお互い握りしめる。


「では誓いのキスを…」


ルーカスさんにベールをめくられるとその顔がはっきりと見えた。


「リナ…好きだよ」


「私もです」


クスッと笑うとルーカスさんからキスをされた。


「おめでとう!!」


「おめでとうございます!」


みんなの嬉しい祝福に唇を離すと頬を染めてみんなの方を向いた。


「リナ!ルーカス!」


まっさきにアリスちゃんが駆け寄ってくるとルーカスさんがいつものように抱き上げた。


「おめでとう!」


アリスちゃんに祝福されると二人で見つめ合う、そしてそのままアリスちゃんに近づくと…


チュッ…


両側からアリスちゃんのほっぺにキスをした。


「アリスもこれで正式に私達の娘だな!」


「私達のところに来てくれてありがとう」


アリスちゃんはほっぺを押さえると恥ずかしそうに笑った。


「へへっ…どういたしまして…」


アリスちゃんの言葉に私とルーカスさんは手を握りあって笑った。


「じゃあリナさん最後にブーケを投げて!」


「はーい!ルーカスさんアリスちゃんをよろしくね」


私はアリスちゃんをルーカスさんに任せるとくるっと後ろを向いて思いっきりブーケを放り投げた!


「きゃあ!私が取るわー!」


「私の物よ!!」


「はぁー!!」


独身の女性達がいっせいにブーケに向かって手を伸ばした!!


ブーケはみんなの手からポンッポンッと渡り歩いて…


「えっ?」


見事ターニャの手元に落っこちて来た。


「うそ…私は…」


ターニャはブーケを他の人に譲ろうとすると…


「あーあ、ターニャが取ったか!」


「悔しいけどターニャなら仕方ない!私達の分まで早く幸せになってね!」


「シモンさんよろしくね!」


「おい!俺は取ってないぞ!!」


ターニャはみんなの笑顔にブーケを大事そうに抱えた。


「私が…貰ってもいいのかな?」


「もちろんだよ」


私が頷くと、ターニャは頬を染めて嬉しそうにしている。


「まずは相手を決めないとな」


「ターニャなら選びたい放題じゃない?」


みんなに喜ばれてターニャはチラッとシモンさんを見た、そしてグッと覚悟を決めた顔をすると…


「シモンさん、一度…一緒に出かけませんか?」


「ターニャ…」


初めてターニャから誘う言葉にシモンさんは驚いた顔を見せると…


「とうとう言われたな…じゃあ次の休みにでも行ってみるか?」


「はい!」


ターニャは嬉しそうに頷いた。


「よかったねターニャ!!」


修道院の仲間達がターニャを囲んで称えている。


そんな幸せな光景をルーカスさんと見つめていた…


「完全に主役を取られたな」


「ふふっ…でも私は二人が居るならなんでもいいです」


ルーカスさんとアリスちゃんを見つめる。


「俺もだ…」


「アリスもー!」


「じゃあずっと三人で仲良くいようね」


「でも家族が増えてもいいよな」


ルーカスさんがアリスちゃんに聞くと…


「かぞく?」


「アリスに妹か弟が出来るって事だ」


「ルーカスさん!」


何を言い出すのかとルーカスさんに声をかけるが


「ほしい!!」


アリスちゃんは目をランランに輝かせる。


「いつかきっとアリスにきょうだいをプレゼントするからな!」


「わーい!そしたらアリス、リナみたいなせんせーになる!」


「先生?」


「うん!リナとおんなじおしごとしていもうととおとうとかわいがる!」


「ありがとう、その時はよろしくね」


嬉しい言葉にアリスちゃんを抱きしめた。


「よし!じゃあ早速今夜…」


とルーカスさんが私の事を引き寄せると…キョロキョロと周りを伺っている。


「どうしました?」


「いや、いつもいい雰囲気になると邪魔が入るから…」


ルーカスさんは周りを警戒していた。


そんなルーカスさんの頬を触ってこちらを向かせると…


「もう誰にも邪魔はされませんよ、だって私達今日から夫婦になったんですから…」


「そうだった…」


ルーカスさんはほっとしたように私を見つめてそのままキスを落とした。


「あー!あそこで新郎新婦がイチャイチャしてるー!」


「おい!まだ早いぞ!この後はみんなでケーキを食べるんだからな!」


二人のキスはあっさりとみんなに見つかった。


「うるさい!もう邪魔はさせないぞ!リナ行くぞ!」


「キャ!」


ルーカスさんは私を抱き上げるとそのまま修道院へと逃げ込んだ!


扉に鍵をかけるとギュッと私を抱きしめてもう一度キスをする。


外からは扉を開けろと叩く音や声が聞こえるが…


「ずっと愛してます…」


今だけはルーカスさんとのキスを選んだ。

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子供に懐かれたら家政婦になりました。あれ?騎士様にも溺愛されてるようです!? 三園 七詩【ほっといて下さい】書籍化 5 @nawananasi

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