第117話勘違い
「じゃあそういう事で…」
ターニャの騒動もあったがその後はスムーズに話し合いが終わる。
修道院はそのままに隣に孤児院を建てることになった。
費用は国からと支援してくれるのと、貴族達からの寄付で運営していくことになる。
「寄付がたくさん集まるといいんだが…」
セドナ様が少し心配そうに呟くと
「なら寄付してくださった貴族の方のご子息を預かるサービスをする…というのはどうでしょうか?」
「ああ、セーラ様を預かった時の様にかい?」
「はい!あっ…でも貴族の方はそんな事必要ないでしょうか?」
「いや、悩んでる人は意外といるかもしれないな…セーラ様やアリスちゃんの事もあるしリナに預けたいと言う人はいるかもしれないなぁ…でも大丈夫かい?」
負担が増えそうでセドナ様が心配そうに確認する。
「はい、子供の悩みならおまかせ下さい!頼りになるシスターもいますから!それに…ターニャ達もいますしね!」
「え!?私達も?」
寝ながら話を黙って聞いてたターニャが驚いて起き上がった!
「もちろん!ターニャ達には期待してるよー」
「で、でもずっとここにいるわけじゃ…」
「もちろんやりたい事が出来たらリナの様に出てって構わないのよ。でもまだお仕事もすぐには見つからないだろうしここで働いてもいいんじゃない?まぁ何処か嫁ぎ先の予定があるなら喜んで送り出すわよ」
「そ、そんな事は絶対にないから!」
せっかく熱の引いた顔がまた赤く染まる。
「あれ?ターニャ…男の人怖くなくなったの?」
「男は嫌いだけど…そうでない人もいるって事はわかったから…」
「そっか…」
ターニャの変化に嬉しくなって思わず頷く。
でもそんな男の人居たかな?
リナはターニャが会った男性の事を考えてみる。
団長のブライアン様…くらいだよね…あとは、ルーカスさんも会っていた事に気がついた!
「ターニャ…まさかルーカスさんに…」
リナはどうしようと顔を曇らせる。
「タ、タ、ターニャ…そりゃ男性には素敵な人がいるって言ったけど…その…ルーカスさんは…」
リナはしどろもどろにターニャに話すが何と言ったいいのか迷っていた。
ターニャが男性を怖くなくなって欲しいとは思う…また女の子だし自分の様に素敵な恋も経験して欲しい…
でも…
「ルーカスさんだけはダメ!」
リナは思わず大きな声で言ってしまった。
「はぁ?ルーカスさんがダメって…どういう事?あの人はリナさんの旦那さんでしょ?」
ターニャはリナの言う意味がわからずに顔を顰めた。
「え?ターニャ…ルーカスさんが気になってるんじゃないの?」
思わずリナが聞き返すと…
「私が気になったのはシモンさん…って違う!違うから!気になってない!少し変わってるな…って…」
ターニャの顔がみるみる赤くなってしまった。
「な、なんだシモンさんか…そっか彼が男性だって知ってるから…」
つい女装の姿に除外していた。
「まぁ…別に出ていくまでならやってもいいよ。私も同じ様な子達はほっとけないから…」
「ありがとう、本当に優しい子ね…」
シスターにいい子いい子と撫でられてターニャはプイっと横を向く…しかしその顔は嬉しそうだった。
「じゃあ早速寄付の話と人員確保の件は報告しておくよ、これから忙しくなると思うが…リナ達よろしく頼むよ」
「はい!」
セドナ様は一度騎士団に戻ると挨拶をして出ていった。
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