第116話赤い顔

「だ、大丈夫だから下ろして!」


ターニャは暴れてシモンの腕から下りようとする。


「バカ!熱があるのかもしれないのに暴れるな!具合が悪いなら無理しないですぐに言うんだ!」


「べ、別に具合悪くなんて…」


ターニャがボソボソっと答えると


「そんな赤い顔で何が大丈夫だ!」


シモンは女性のフリも忘れて廊下を走った!


「それって…私を心配してるの?」


「当たり前だろ!」


シモンはターニャをシスターの部屋へと連れていくと…


「すみません!ターニャの具合が悪いみたいです!」


扉の前で大声で声をかける。


すると中から慌てた様子のリナ達が出て来るとターニャを取り囲んだ!


「ターニャ!大丈夫!?」


「さっきは元気だったのに…すみませんがこちらに寝かせて貰えますか?」


シスターも心配してターニャを自分のベッドに寝かせるようにシモンに頼む。


「顔が赤いんだ!熱は無いように感じるが…俺では分からない…見てやってくれ」


シモンの説明にシスターはターニャの様子をうかがうと…


「ん?これは…」


ターニャは気まずそうに赤い顔を逸らした。


その様子にシスターはクスクスと笑うと…


「シ、シスター…」


ターニャは助けを求めるようにシスターの服の端を掴んだ。


「はい、はい。少し顔の赤みが引くまでここで休んでいなさい。シモンさんありがとうございました。ターニャは少し休めば大丈夫ですからね、お仕事に戻ってください」


「本当に大丈夫ですか?もし…俺達が居たせいなら…」


シスターに申し分け無さそうに耳打ちする。


「いえ、あなた達のせいではありませんよ。それだけは絶対だと言えますからね」


「そうですか、なら…ターニャゆっくり休むといい。パンありがとうな」


シモンはターニャに声をかけるとそっと頭を撫でて部屋を出ていく。


その間ターニャはグッと息を止めていた。


シモンが部屋を出ていくと…


「はぁ!!」


息を思いっきり吸い込んだ!


「ターニャ…本当に大丈夫?」


リナも心配して声をかけてベッドに近づいた。


シモンがやったようにおでこを触るが少し温かい程度で熱があるようには感じない。


「だ、大丈夫…少し休めば…」


フーっと深く呼吸を繰り返していると大分落ち着いてきたようだ。


「フフ、好きなだけ休んでいいのよ。気持ちが落ち着いたら戻りなさい」


「はい…」


ターニャはシスターの見透かすような笑顔になんだか恥ずかしくなりシーツで顔を隠した。


「シスター、ターニャは大丈夫なんですか?何か知ってるみたいですけど…」


リナは気になってシスターにそっと声をかける。


「まぁみんなかかる#病__やまい__#ですから問題ないわ」


「#病__やまい__#病気って事ですか!?」


「リナもかかったことがありますよ…もちろん私も…だから安心なさい」


シスターの言葉にリナはどんな病気か想像する…


子供の頃にかかる病気かな…水疱瘡やおたふくとか…それにしては症状がないけど…


「ターニャを見ていればそのうちにわかりますよ。でも今はあまり詮索しないであげなさい」


「わかりました」


信頼するシスターの言葉にリナは素直に頷いた。

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