第9話 進級

私に告白した男子生徒がいた。


その時、偶然、鉢合わせなのか、恭吾君に遭遇。


そして、零一君と私の噂を恭吾君から聞いた。


更に、零一君にも告白していた女子生徒が今迄いた事。


登下校が常に一緒だった私達だけど


私も自分の想いに、まだ気付いてなかった。



そんな零一君の想いも寮生なだけで私に対して別に恋愛としての想いがない事。


私は迷ったけど告白された男子生徒には断りを入れた。



だけど、零一君と私の関係は変わらなくて…



でも……



一緒に帰る事はなくなった………





進級して、また零一君と同じクラス。


運命のイタズラ?




夕飯時――――




「どう?クラスに変化はあったぁ〜?」と、栄次さん。


「変わらへん」と、康介君。


「そうなのぉ〜?」



「また、お前と同じクラスになるとはな?」と、零一君


「そうだね。見飽きたでしょう?私達、寮も一緒だしねぇ〜。零一君、寮生の代表で女子生徒連れて来なよ!」


「何故、俺が?」


「私も女子が増えて助かるから。みんなも助かるでしょう?みんなカッコイイしモテモテかもよ?」



「悠菜ちゃんの言い方、棘があるのは気のせい?」


亮平君が言った。



「アレの前か?」と、康介君。


「違うし!」


「悠菜ちゃんも色々あるんだよねー」と、恭吾君。


「うん。あるんだ〜」



「彼氏とうまくいってないのか?」と、零一君。



「彼氏ぃっ!?」と、私。



《えっ!?彼氏って…まさか…零一君…》




「彼氏ぃぃぃっっ!?」



恭吾君、零一君以外の寮生のメンバー3人が声を揃えて言った。



「いつの間に?」と、亮平君。


「何処で知り合ったん?」と、康介君。


「お兄ちゃんは聞いてないぞ!」と、竜神君。




「以前、告白された男子生徒と付き合っているんじゃないのか?」



零一君が言った。



《やっぱり誤解してる》




「付き合ってないし!」と、私。



「好きな人いるからだよねー」と、恭吾君。


「好きな人?えっ…!?…いや…えっと…」と、私。



「まあ…多分、何かアクションか起きない限り気付かないだけなんじゃないかな?」



恭吾君が言った。




「好きな人?誰?」と、竜神君。


「好きな人いるの?」と、亮平君。



「それは…えっと…」



「可愛い〜♪顔、赤いんだけど」と、亮平君。


「はいはい。検索しないの!悠菜ちゃん困ってるじゃなぁ〜い。ねぇ〜」



栄次さんが言った。




私達は話題を変えた。




「ご馳走様でした!お先にー」と、私。


「はいはぁ〜い」と、栄次さん。



私は部屋に行く事にした。





〜 零一 side 〜



「俺、零ちゃんと悠菜が付き合うのかと思ったけど」


竜神が言った。



「俺と悠菜がか?」


「一時期、噂になってたで?」と、康介。


「噂?」


「当本人達は知らないんだよねー」と、恭吾。


「全くだ!」


「二人いつも一緒に登下校していたから、ほとんどの人が付き合っているんじゃないか?って」


亮平が言った。



「俺等、良く聞かれてたけど」と、竜神。


「そうだったのか?」




俺は真実を聞かされるまでは周囲の状況も俺達の事も知らなかった。




そして……



俺は……



まだ……




自分の想いに


気付いていなかった………







「だけど、ただの噂に過ぎなくて悠菜ちゃんが告白されて以来、二人で行動するのは辞めたんだよねー。悠菜ちゃんの本心は分からないけど…その男子生徒とは付き合っていないよ」



恭吾が言った。




「なあ、零ちゃん的にはどうなの?悠菜の事」


竜神に尋ねられた。



「俺は……」




答えられなかった………




「友達以上、恋人未満?」と、恭吾。


「まあ…そんな所だろうな。正直、分からないが、好きという感情はない!」


「そう言い切れるの?」と、恭吾。


「えっ?」


「一緒にいすぎて…気付いてないとか?」



「………………」



「…女子生徒の告白を断り続けていたのは、何処か悠菜ちゃんがいたからじゃないの?」



「………………」



「……どうやら二人は何かのリアクションがないと平行線みたいだね」






俺と悠菜の関係は



変わらないまま――――













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