第7話 恐怖の時間

そんなある日の事だった。


学校帰り――――



用事で街に出た私。


時間を忘れ街に一人でいると辺りは暗くなっていた。



「ヤバイ……!夢中になっていた」



CDショップ

本屋

ショップからショップをはしご渡り。



「どうしよう?」



時間は夜7時を廻っている。



「彼女一人?何してんの?」

「高校生だよね」

「こんな時間まで何してんの?」



3人の男の人達に囲まれた。



「彼氏とデート?」

「いいえ…もう帰る所で」

「えっ!?夜はこれからだよ。勿体無い!」

「俺達と夜の街を楽しもうよ!」



「ごめんなさいっ!未成年なので警察沙汰になる前に帰らせて下さいっ!」



私は足早に逃げ去った。



「急がなきゃ!」




その途中だ。



1台の車が私の横にゆっくり停止した。




「…あのー…すみません」


ビクッ



「はい?」



私も足を止めた。



「〇〇に行きいのですが、道に迷っちゃって…広い道に出たいんですけど」


「〇〇ですか…?すみません…私、急いでて地元の人間……」




グイッと腕を掴まれた。



ビクッ



「きゃ…」と、掠れた声しか出ず、それ以上の声が出なかった。




《声が…出ない……。嘘……》




「大人しく付き合ってもらおうかな?お嬢さん」




首を左右に振るのが精一杯だった。


そして、私の視界に入ったのはナイフだ。




「………!!!」



「ほらっ!車に乗りなっ!」



その人は車から降りようとドアに手を掛けた。




その時だ。


私の携帯が鳴った。



ビクッ


「チッ!」



舌打ちをし車を走らせた。


私はヘナヘナと腰を降ろす。




「…こ…わ……か…っ…た……」




私は震える手で電話に出た。



「良かったぁ〜。余り出ないから心配したじゃな〜い」


「…栄次さん…すみません…」


「今、何処〜?」


「…えっ…今…えっと…」



辺りを見渡し場所を伝えるものの、うまく伝わっていないようだ。


その時だ。



「悠菜、零一だ」

「…零一…君…?」


「一旦、電話を切る!俺の携帯から電話をかけるから出ろ!良いな!」


「…うん…」



一旦、電話を切り、見慣れない番号から掛かってきた。



「俺だ!分かるな」

「…うん…」



「今から俺がそっちに向かうから歩ける範囲でいいから寮に向かえ!いいな!」


「…うん…」



「話したくないなら話さなくて良いが栄次さんが様子がおかしいと言っていた。一体、何があったんだ?」


「…車……連れて…行かれ…そうに…なった…」



「…早く帰らないから罰が当たったんだろう?最近、そういう同じ事件が発生しているそうだ。運悪く遭遇したんだろうな」


「…そうか…」



「お前が確認出来た!そこにいろ!電話切るぞ!」


「…うん…」



「悠菜!」


「…零一…君…」



名前を呼ばれ振り返るのと同時に私をフワリと優しく抱きしめた。



ドキン



「…もう大丈夫だ!俺が傍にいる」



私は零一君の背中に手を回した。



「怖かったろ?」



私は頷いた。




「悠菜」



抱きしめた体を離すと私の両頬を優しく包み込むように触れる。



「余り心配させるな!」

「零一君」

「お前といると寿命が縮みそうだ。帰るぞ!」



そう言うと顔から両手を離すと帰り始める。



「ま、待って!まだ…」



転びそうになる私を抱き留めた。




「全く!危なっかしい奴だな!」

「だって…あんな事あって…」




グイッと私の手を掴む。



ドキン




「俺と手を繋ぐ事が出来るのは、特別になった時だ!ただの寮生にどうして繋がないといけないんだ?」


「…知らないよ…。…ごめん…良いよ…平気だから…」




手を離そうとする私の手をグイッと引き止めたかと思うと腰に手を当てた。



ドキッ

かなりの密着感。


かなりエロい。


しかも至近距離過ぎる。



「れ、れ、零一君っ!近いんだけど…しかも密着…」



振り向く零一君と至近距離、今にもキス寸前だ。


かああああ〜っ!と熱くなったのが分かった。



クイッと顎を掴まれた。



ドキッ



「…あ、あの…」



ポンと頭をされた。



ドキッ



「1つ1つに過剰反応しすぎだ!バカ、悠菜」

「だ、だって…」


「今、これ位の事で、それだけの反応するお前は恋人同士になったら、もっとヤバイんじゃないか?」


「し、仕方ないじゃん!こんな次々と不意打ちされたら…」


「言っておくが俺は言葉よりも態度でしか示さない!そこまでの反応するとなれば本当からかい甲斐あるな」


「からかい甲斐って…私はオモチャじゃないから!」



クスクス笑う零一君。



そして再び手を繋ぐ零一君。



ドキン



「さっきも言ったように特別に寮まで繋いでやる」




私達は手を繋いで帰る。





気付けば二人の時間が増えていた。


そして気付かないうちに


私達の恋は始まりつつあった




―――でも




お互いまだ気付いていなかった……

















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