第4話 街

次の日の放課後、私はいつものように寮に帰ろうと正門から寮に向かって曲がり始めた。



グイッと背後から私の肩を誰かが抱き寄せた。



「きゃあっ!」

「ねえ、かーのじょ!今から街に行かない?」

「け、結構です!」



振り払うと同時に振り向く。



ドキーッ

至近距離にある顔に大きく胸が跳ね、顔が赤くなったのが分かった。



「りゅ、竜神君っ!?」


「うわっ…何?その反応!顔真っ赤なんだけど!」

「か、顔、近過ぎっ!」

「チューする勢い的な?」


「……!!!」


「チューしとく?」

「ば、馬鹿っ!」

「意外な一面!つーか純な感じ?」





そこへ――――




「おいっ!お前らイチャつくなら他の所でしろ!目障りだ!」


「あっ!零ちゃん!零ちゃんも好きなくせに」


竜神君が言った。



「好きだが人前ではイチャはしないっ!」


零一君が言った。



「おっ!ハッキリ言うたで!」と、康介君。


「俺は人前でイチャイチャ派ーー」と、恭吾君。



「俺は二人きりイチャイチャ派。だけど、人前でイチャイチャしたくなる時もあるかも?」


亮平君が言った。



「俺は二人きりイチャイチャ派!」と、竜神君。



「そんな事はどうでも良いから、この手を離して!」


私が言う。




いつもの寮生のメンバーが揃った。




「今日は、みんなで遊びに行こう!」と、竜神君。


「えっ?」と、私。


「真っ直ぐに帰るなんて言わせないよ。悠菜ちゃん!」


亮平君が言った。



「そうやで!」と、康介君。



「昨日、みんなに俺から言っておいたよー。悠菜ちゃん」


恭吾君が言った。



「えっ?何を?」と、私。



「3人とも、かなりヘコんでいたよー」と、恭吾君。



「俺達ばっかり楽しんでたなぁ〜と思うて。もっと悠菜ちゃんに歩み寄るべきやったなぁ〜って」


康介君が言った。




「悠菜ちゃんの事、考えてなかったなぁ〜って」


亮平君が言った。



「反省した所」と、竜神君。



「みんな、悠菜ちゃんの休日とか放課後の事、全然把握してなくて、そんな俺も気にかけてやれてなかったなぁーって思ってたから」


恭吾君が言った。



「そうだったんだ…ありがとう。その気持ちだけで十分だから大丈夫だよ」



「街にレッツゴー!しばらくは寄り道コースだからな」


竜神君が言った。



「えっ?」と、私。


「それは…みんなでなのか?」と、零一君。



「勿論!零ちゃんも真っ直ぐ帰宅コースだろう?」


竜神君が言った。



「当たり前だ!人混みなんて冗談じゃない!」


零一君が言った。



「正にインドアタイプ!」と、竜神君。


「彼女と DVD 鑑賞してHするコース!」と、亮平君。




《Hって…ストレート過ぎだよ…》



「全てがそうじゃない!外出もする!」と、零一君。



「遊園地?」と、亮平君。


「カラオケ?」と、竜神君。


「ボーリング?」と、康介君。



「それ、みんなの好みハッキリ分かれてるよね?」


私は言った。



「確かに言えてるねー」と、恭吾君。


「それで、零一君は何処に行ったりするの?案外、映画館とか水族館とか?そういうイメージがあるんだけど」


亮平君が尋ねた。



「それは今ここで言う事か?悠菜に振れ!俺に振るな!」


零一君は言った。



「悠菜は彼女になって聞くべき!」と、竜神君。


「零一君、謎だから」と、亮平君。


「謎…なのか…?」と、零一君。



「コミュニケーションをとろうとしない零一君の事は、みんな謎だらけなんだよ」


私が言った。



ペシっとおでこを叩かれた。



「痛っ!何でいきなり叩くかな?」

「叩きやすい頭をしていたからだ!」

「何それ!」


私達は騒ぎつつ、街に行く事にした。





 












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