第3話 存在
「栄次さん、ショッピングするなら街に出ないと駄目ですか?」
「そうね〜」
「そうか…」
「誰かと街に出掛けたら?」
「でも、みんな彼女とか男友達で出掛けているだろうし私と一緒じゃ…。それに…既にみんないなさそうだし」
「だけど悠菜ちゃん、土日、祝日も放課後もずっと寮でしょう?体に悪いわよ〜」
「…分かっているんですけど…一人じゃ抵抗あるから……」
「悠菜ちゃん…」
「すみません」
「街に行くのー?」
背後から声がし、振り返ると恭吾君がいた。
「あれ?恭吾君いたんだね?街に行きたいの方が本音かな?ねえ、恭吾君、街案内して!…ていうか…そんな感じじゃないね…何処かに行く感じだね…。ねえ、誰が一番詳しいのかな?」
「竜ちゃん、康ちゃん、亮ちゃん、の3人トリオかなー?」
「そうかー…3人良く街に行ってるもんね」
「そうだねー」
「…そっか…」
私は自分の部屋に行く事にした。
「はあぁ〜……」
ため息を吐く私。
「こんなはずじゃ…なかったのにな…寮生活…」
私の高校生活――School Life―――
街に出てショッピング
友達と沢山話をしたり
カラオケ行ったり
女子高生ならではの
寄り道コース
ただの憧れでしかなくて
休日なのに
ゴロゴロコースなんて
ありえない
流行スポットとか
色々と楽しいはずの青春
楽しいプライベートになるはずが
楽しい school Life になるはずなのに
放課後まっすぐなんて
悲しすぎるね……
その日の夕飯時、亮平君と康介君は街の話をしていた。
「………………」
二人の会話に、竜神君も加わり盛り上がっている。
羨ましい半面
私はさっさと夕飯を済ませ居ても立ってもいられず自分の部屋に行く事にした。
「悠菜ちゃん、もう部屋に行くの?」と、亮平君。
「腹一杯、食べたんか?」と、康介君。
「食べたよ。忙しいから!みんなはごゆっくり!栄次さん御馳走様でした!」
「うん…」
私は足早に食堂を出た。
〜 恭吾 side 〜
「やっぱり女の子だから少食なのかな?」
亮ちゃんが言った。
「もっと考えてやりなよー」
「えっ?恭ちゃん?」と、竜ちゃん。
「俺も言える立場じゃないけど、悠菜ちゃん、ここの寮に入って、放課後も真っ直ぐに帰宅して、土、日、祝日も寮から一歩も出てないから…というより…出れないんだよ」
「………………」
「慣れない街に出て…右も左も分からないし、何かあったらって……」
「……………」
「ましてや女の子が、ここの寮にいるわけじゃないし…だからって学校なんて女子少ないし、とても淋しい思いしているんだと思うよー」
「そうね〜。悠菜ちゃんの事、もっと気にかけてあげなきゃ学校の知り合いも、あなた達しかいないようなものよ〜」
「………………」
「まあ、私が外出を一緒にしてあげれば良かったんだけど…私よりも同世代の方が悠菜ちゃんも良いに決まってるでしょう?」
「…俺…悠菜ちゃん女の子だからと思って遠慮してたんだよね…」
亮ちゃんが言った。
「…俺…前の学校の友達と会ったりして出掛けてんだろうって思ってたから…」
竜ちゃんが言った。
「…俺達から、もっと歩み寄った方が良かったみたいやな…みんな…何処か遠慮してたかもしれへんな」
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