第12話 彼の想い
「悠菜ちゃん」
「恭吾君…」
「相変わらず沈みがちだね」
「えっ?そうかな?」
「そうだよ。お兄ちゃんに話してみなさい」
「お兄ちゃん…って…。同級生だよ」
「でも、お兄ちゃんみたいでしょう?」
「確かにそうかも……」
「あっ!そうだ!悠菜ちゃん」
「何?」
「悠菜ちゃんライブとか行った事ある?」
「ライブ?ないなぁ〜。人生一度は行っておきたいかも?恭吾君は?」
「俺は友達が譲ってくれたライブチケットで何回か」
「そうなんだ」
「うん。それに友達がバンド組んでるから」
「へぇー、凄いね!」
「そこでなんだけど、友達が手に入れてくれたチケットがあるんだけど…行かない?」
そう言うと、チケットを見せた。
「あっ!このアーティストの CD 全部持ってるよ!」
「やっぱりそうなんだね。確か、前に買っているの見た事あったから」
「そうだったんだ」
「それで、どう?良かったらで良いんだけど」
「行く!でも、良いの?」
「良いから誘っているんだよ」
「ヤッター!」
私達は行く約束をした。
そして、ライブ当日、何もかも忘れる勢いで私は楽しんだ。
その日の帰り、ライブの話しで、盛り上がる。
夜道を帰る中、ふと――――
「ねえ、悠菜ちゃん」
「何?」
「今、悠菜ちゃんの中には…誰がいるの?」
「えっ?」
「単刀直入に言うよ。俺、悠奈ちゃんが好きなんだ!」
ドキン
「恭吾君」
「自分の気持ち隠したくないから…」
「恭吾君…ありがとう…」
「一先ず、今のままで良いから俺の気持ち知ってくれれば良いし」
「うん…」
少しずつ
少しずつ
変わって来ている
――――現在(いま)――――
一年前は
不安で仕方がない毎日で
寮生活も初めてで
分からない事も
沢山あったけど
一年前と比べて
色々な感情とか
色々と成長して
気持ちに余裕が
出来ているのだろうか?
恋が生まれてくる環境
私に恋愛は出来ますか……?
ある日の事だった。
「まあ…浴衣じゃなぁ〜い♪悠菜ちゃーーん」
「はーーい」
「ちょっと来てーー」
私は栄次さんに呼ばれ部屋に訪れた。
「どうしたんですか?」
「これ、浴衣なんだけどぉ〜、今年の夏祭りに着てみたらどうかなぁ〜と思ってぇ〜」
「浴衣…?へぇー、夏祭りあるんですね!いいですね!」
「でしょう?毎年恒例の夏祭りなんだけど花火も上がるし、みんなでどう?」
「そうですね。検討してみます。みんなの都合もあるだろうし」
「そうね。一応、クリーニングに出しておくわ。良かったら着てあげてぇ〜♪」
《みんなで行けたら行きたいけど…》
正直、亮平君や康介君の女子高生呼び止め事件以来、(事件というのもおかしいけど)栄次さんに頼んでみんなと別行動していた。
ご飯の時も別にして貰っていたのだ。
寮生のみんなからしてみれば、そこまでする理由あるかな?って思われているかもしれない。
避けられてるとか色々な意見があるだろう?
だけど、私が、勝手にしている事であって、寮生は良い気しないかもしれないけど…
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