第11話 みんなの想い
「ただいま!」と、亮平君。
「…ただいま…」と、私。
「寮生3人、ただいま帰宅したでーーっ!」と、康介君
「何か変なテンションの組み合わせで帰って来たし!」
竜神君が言った。
私は足早に自分の部屋に移動する。
「悠菜ちゃん、何かあった?」
恭吾君からグイッと腕を掴み呼び止めた。
「えっ?やだなぁ〜…なにもないよ。久しぶりに街に出たから疲れただけだよ」
「………………」
掴んだ手を離す恭吾君。
「部屋、行くね」
「…うん…」
「………………」
〜 恭吾 side 〜
「二人共、街で何かあった?」と、恭吾君。
「えっ?」と、亮平君。
「いや…特に無いねんけど…」と、私。
「…ただ…悠菜ちゃんといる時に他校生の女子生徒から呼び止められたくらいかな?」
亮平君が言った。
「そうか…じゃあ…原因はそれかな…?」と、恭吾君。
「やっぱり、様子おかしいと思ったのは、気のせいじゃなかったんだね。悠菜ちゃんを一人にしたらいけないと思って、改めて明日、その女子高生達と待ち合わせしたけど…」
亮ちゃんが言った。
「アイツ気ぃ利かせて先に帰る言い出したから止めたんや」
康ちゃんが言った。
「そこにはいたくなかったんじゃないかな?だから帰ろうって…悠菜ちゃん…ずっと…このままじゃいられないって思ったんだろうな…?」
「恭吾君…」と、亮ちゃん。
「恭ちゃん…」と、竜ちゃん。
「みんなと馬鹿しあって騒げるのは今しかないからね…高校卒業したら、みんなバラバラになるし…」
「………………」
「ねえ、みんなの中で悠菜ちゃんの存在って、どうなの?」
俺はみんなに尋ねた。
「俺は友達だな。恋愛対象として考えた事はない!」
零ちゃんは言った。
「俺は…微妙かな?」と、竜ちゃん。
「俺は…喧嘩友達として過ごしているから正直分からへんけど、もしかすると気付いてないだけかもしれへん」
康ちゃんは言った。
康ちゃんは多分…彼女への想いに気付くのは時間の問題だと俺は思った。
だけど、これは悠菜ちゃんの心も寮生への想いに気付くのは時間の問題だと思う。
でも俺は彼女の中に存在するのは多分、彼への想いが優先になるだろうと………
「俺も正直、分からないよ」
亮ちゃんは言った。
亮ちゃんは無邪気で社交的な中に、使い分けている人格があるのを俺は知っている。
その人格は彼女も知っている事は気付いている。
亮ちゃんの口から彼女に話をしている事を聞いた。
どうやら、みんなの想いは友達として寮生としている事が分かり、とにかく彼女が違う意味で好きなんだと俺は思った。
だけど、そんな俺も嘘はつけない。
「俺は、悠菜ちゃんが好きだよ」
俺は正直に自分の想いを言った。
「えっ?」と、竜ちゃん。
「もちろん、友達としてじゃなくて一人の女の子として見ている。見てて飽きないなぁ〜って思っていたら目が離せなくて、いつの間にか放っておけないと思って…気付いたら好きになっていた」
「恭ちゃん…」と、竜ちゃん。
「みんなにライバル心を燃やそうとは思わないけど、みんなには素直になって欲しいんだ。好きなら好きで良いと思う。友達のままなら、それはそれで良いと思うけど悠菜ちゃんの悲しむ顔を俺は見たくないんだ!」
「………………」
ねえ……
私の心の中には
誰がいるの?
ムードメーカーの男の子?
無邪気で社交的で
裏の顔がある彼?
いつも馬鹿しあって
言い合っている男の子?
いつも人の心を
見透かすのが得意な彼?
クールだけど憎めない彼?
個性的なみんなと恋は出来るの?
―――でも―――
気付いたら好きになってて
離れて気付く想いもある
私の恋愛の話〜ストーリー〜は
誰と始まるの?
それとも……
もう………
始まっている……?
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