第9話 友達 = 仲間

学校帰り寮生のみんなで街に出た。


ゲーセンに行き、私以外のメンバーは各々ゲームの中、私が一人で休憩している所に他校生の男子生徒が私の前に来て声を掛けて来た。



康介君、竜神君、亮平君の3人と相手の男子生徒と恭吾君から、カーバトルで対戦して欲しいという事となり




「恭吾、お前は何を考えているんだ?あのゲーム馬鹿3人が負けたら悠菜は彼奴等に……」




零一君が、一足遅くに戻って来たものの状況は把握しているようだ。




「知ってるよ。だけど、みんな同じ気持ちでしょう?」


恭吾君は自信あり気に言った。



「えっ?」と、私。


「悠菜ちゃんも付き合う気ないだろうし。3人も平気な振りして他校生に悠菜ちゃんを取られたくない雰囲気だったし」



「………………」



「恭吾君って…本当、洞察力、半端ないね」

「もちろん!悠菜ちゃんは、みんなを信じて!」

「うん!」




その結果――――――



「マジ悔しいんだけど!」

「イイ線いってたんだけどなぁ〜」



相手の反応から見ると、どうやら寮生メンバーに負けたと思われる様子だ。




「流石だね。俺なら負けてるなぁ〜」と、恭吾君。


「俺も絶対無理だ!」と、零一君。



「初めてやで?ゲーセンでマジバトったのは!ちゅうか何でコイツの為にバトらなアカンの?意味分からへんわ!」


康介君が言った。




「悪かったなっ!」



「俺はヤバかった!」と、亮平君。


「亮ちゃんは久しぶりだったからな」と、竜神君。


「そうなんだよね」と、亮平君。


「そんな俺もヤバかったけど。つーか、コイツの何処が良いんだ?」


竜神君が言った。



「ただのモノ好きなんちゃうの?」と、康介君。


「あー、そうだろうね!」と、私。




私は足早に歩く。




「あっ!悠菜ちゃん!」と、亮平君。



私の後をすぐに追う。



グイッと私の手を掴む。



「単独行動はすんなよ!」



亮平君が私の耳元で、もう一人の亮平君で言った。




「本当、時々、出現するんだね?もう一人の亮平君」


「出現ってな〜。人を化け物みたいに」



クスクス笑う私。



「まあ、悠菜ちゃんと恭ちゃんしか知らないから、二人の前以外は出さねーからな。俺」




私達はコソコソ話す。



「本当、みんな素直じゃないなぁ〜」と、恭吾君。


「何でやねん!」と、康介君。


「そうだ!俺は別に」と、竜神。


「俺かて、そうや!」と、康介君。




そう言う会話が聞こえてくる中、私と亮平君は一足先に肩を並べて歩いている。



「だけど、悠菜ちゃんが他校生と話をしているのを見て、明らかに不機嫌に二人共なっていたよね?」



恭吾君が言った。




「………………」



「案外、恋のライバルか?」と、零一君。


「いやいや、ちゃう、ちゃう」と、康介君。


「俺だって違うし!」と、竜神君。


「悠菜ちゃんも不安そうだってし。正直、付き合う気はなかったみたいだけど」



恭吾君が言った。



「そうやろな」と、康介君。


「だって、俺達とも頑張って仲良くしている感はじだし」


竜神君が言った。



「確かに、他校生と仲良くする感じじゃねーよな?」


亮平君は、私の隣で私にだけ聞こえる範囲で言った。




「…それは…」


「アイツもアイツなりに色々と考えているんやろうな?」



康介君が言った。



「みんな悠菜ちゃんが違う意味で好きみたいだな」


亮平君が私の隣で私にだけ聞こえるように言った。




寮生のみんなが私達の元に駆け寄る。



「悠菜、俺達が勝って良かったな?」と、康介君。


「そうだね!流石ゲーム馬鹿だね?」と、私。


「オイッ!何でやねん!」と、康介君。



「ええーっ!しょっちゅう街に出てゲーム三昧でしょう?特に康介君は」


私が言った。




「確かに!」



亮平君が私にしか聞こえない声で言った。




「はあああっ!?何で俺限定なん?」と、康介君。


「えっ!そうでしょう!?…だけど…みんなありがとう!」



そう言うと足を止めた。



「えっ?」と、康介君。


「悠菜ちゃん?」と、亮平君。


「悠菜?」と、竜神君。




みんなも足を止めた。




「いや…私…正直どうなるか不安だったし…負けたら他校生と付き合う事になるのかな…?って…。ただでさえ元男子校で今年から共学だったから…みんながいてくれたから今を至っている訳だし…」



「………………」



「みんな、各々、性格とか価値観とか違うからこそ人間って沢山の出逢いとかあって面白いんだろうなぁ〜って……。ところで、私ってみんなの友達で良いの?」



「えっ?何を急に言い出すかと思ったら」と、竜神君。


「いや…私…みんなの事、男友達って思えるような関係で良いのかな?って…」


「アホな質問すな!」と、康介君。


「寮生は、みんな友達だよ。悠菜ちゃん」と、恭吾君。




亮平君が歩み寄り私の背後に回ると両肩に手をおく。



「友達じゃなかったら、こうして一緒に行動はしねーよ!今更、何言ってんの?」



私に聞こえる位の声で言うと、そのまま、みんなの輪の間に入れた。




「悠菜は、みんなの女友達の一人だし、俺達みんな悠菜の男友達だから!悠菜は幸せ者じゃん!みんなに好かれてるんだし」


竜神君が言った。



「そうだよ。悠菜ちゃん」と、亮平君。




私達は色々と話をしながら帰るのだった。













 

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