第8話 バトル

ある日の放課後、バシッと誰かに背後から頭を叩かれた。



「いったぁぁっ!」


「あー、スマン!蠅(はえ)が止まっとってん」


「はあああっ!?」



クスクスと康介君の背後で笑っている亮平君の姿。




「お前、真っ直ぐ帰るんか?」

「えっ?あ、うん。帰るよ」

「そうなんや」


「うん。どうして?あっ!私と一緒にいたいの?」

「アホ!お前とおったらアホが移るわ!」


「失礼ねっ!」


「ほんなら、お前は “天災か!”」


「うん。天才!」



「そうかぁ〜……災害のな…」

「うん。…ん??…災害??えっ…?」

「せや。天災の事や」

「うん。だから、天才だよね?」




バシッ




バシッ



背後から頭の後頭部を叩かれた。



「ってーーっ!」


「ったぁーーっ!」



「何すんねん!」

「何すんの?」



「お前等の馬鹿な会話に変な虫が頭に止まっていたから退治してやっただけだ!」



「零一君っ!?」

「零ちゃんっ!?」



「康介が言う “てんさい” は、風、水害、地震などの自然現象によって引き起こされる災害の “天災” の事だ!」



亮平君は、クスクス笑っている。




「ちゅーか、馬鹿な会話って失礼やなっ!」

「本当だよっ!」


「その前に悠菜は勉強不足じゃないのか?天災も知らないとは呆れてものも言えん!」


「いや…ややこしくて…」



「………………」



「悠菜の言う “てんさい” は、凄い奴の事を言っていたんだろうが、この関西男は、天災、つまり災害の事だったからな」



「関西男って何やねん!」と、康介君。


「関西男だろ?」と、零一君。


「名前あるわ!」と、康介君。


「名前がない方がおかしい!」と、零一君。




つい笑ってしまった。



「さあ、帰ろうっと!それじゃ、お先!関西男君」


「ちょー、待てや!」

「何よ!」

「街、行くで!」

「えーーっ!私も?」


「みんなで行くんだって〜」と、恭吾君。

「恭吾君」



「その関西男が」と、竜神君。


「何やねん!みんなして関西男って!」と、康介君。


「関西男じゃないなら何だ?」と、零一君。


「桜木 康介って名前あるわ!」と、康介君。


「知ってるし!」と、私。




バシッ

頭を叩かれた。




「った!ちょっと!人の頭を打つな!」

「あー、スマンなぁ〜。ハチおってん」


「はあああっ!?今度はハチぃぃっ!?マジいたら刺されてるし!つーか、康介君が刺されちゃえ!」


「何でやねん!」



私が言い合う中、他の寮生のみんなは、やれやれと言わんばかりに去り始める。




そして―――――




「おーーい、お前等ーー、おいて行くぞーー」



ハッと見ると、遠くで叫ぶ竜神君。




「あーーーっ!」


「ちょっ、待てやーーーっ!」



私達は、走る中、みんなも逃げるように走る。


鬼ごっこ状態だ。




「酷いっ!」


「この康介様をナメるなっ!追いついたるわっ!悠菜、行くで!」


「えっ?あっ、うん」




グイッと私の手を掴み走り出した。




ドキン



《こうして手を繋ぐの何度目だろう?》



私達は街に向かうのだった。


街に行くと各々ゲームをする。




しばらく休憩していると――――




「彼女、何してんの?」


「えっ?」




私が腰掛けているテーブルの周りに、3人の他校生に声を掛けられ、テーブルを囲むように腰を降ろす。




「一人?」


「いいえ」


「彼氏?」


「いいえ」



「女友達?」


「違います」


「じゃあ、男友達?」


「まあ、そんな所ですかね?」




3人は、矢継ぎ早に質問してくる為、答えるしかない私。





《…寮生って…私の男友達?》

《彼等の中では…私は…女友達の一人?になるのかな?》




「ねえ、君、マジ可愛いね」

「彼氏いないの?」

「はい」

「じゃあ、連れの男友達は、可愛い君を放ったらかししてるの?」


「各々、ゲームしているので……」

「それだけ可愛いのに彼氏いない方がおかしいよ」

「でも…本当にいないので…」

「じゃあ募集中?」


「いや…別にそういはう訳じゃ…」



「じゃあ、俺、立候補しようかな?」

「いやいや、俺だよな?」

「えっ?」



《何?何?私、もしかして告られてる感じ?》



「いや…えっと…すみません…。あの…突然の事で…」


「可愛いーー」

「ねえ、何年生?」

「えっ?あ、高1です」

「俺達と1つ違うんだ」

「そうなんですね」



「ねえ、その制服って何処?」


「見かけない感じだし…学校創立記念とかでイメチェンした?」


「いや、案外、今年から共学になった学校じゃ」


「あー…」




そこへ――――



「悠菜、帰ったかと思うたやん」

「君、悠菜ちゃんって名前なんだ」

「あっ、はい」


「ねぇ、君、彼女紹介してよ」

「えっ?」

「彼氏じゃないんでしょう?」

「…それは違いますけど…」




《あっ!こういう時、関西弁出ないんだ》

《イントネーションあるけど標準語だ……》



「なあ、お願い!」

「いや…俺に言われても…」


「悠菜、康ちゃんどうした?」と、竜神君。



亮平君と竜神君がいた。



「あ、いや…」

「君達も彼氏じゃないんだよね?」

「はい」



「彼女、俺達に譲って!」


「ゆ、譲って?」と、竜神君。


「俺達、彼女と仲良くなりたくて」



「あー、お前はどうしたいの?」


竜神君は私を見て尋ねた。



「えっ!?私は…」



《付き合うとか付き合わないとか…無理だよ…》

《しかも…他校生となんて考えた事ないし…》



「悠菜ちゃん」

「恭吾君」



いつの間にか私の近くに来ていた。



「すげー…また、男が現れた!」


「悠菜ちゃんは、やっぱ可愛いから、男子が放っておかないんだね」


「しかもレベル高くね?イケメンばっかじゃん!」


「えっ?」


「彼女を紹介して欲しいなら、ゲームで3人とバトって下さい!」


「えっ!?恭吾君?」


「俺達の方が勝ったら諦めて下さい。しかし、あなた達が勝ったなら彼女を紹介させて頂きます!」


「悪くねーな!」

「良いぜ!」


「3人も良いよね?」

「それは…」



カーバトルが始まった。


一人ずつゲームに参戦しバトルをするらしいけど……















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