第5話 恐怖の時間

次の日、みんなは外出をした。



私は一人夕飯のおかずを何しようかと考える中、留守番をする。



昼になり食堂に行く。




「ただいまー、悠菜ちゃんいる?」

「あれ?亮平君?」

「悠菜いてるか?」

「康介君?」

「お昼食べた?」



亮平君が尋ねた。



「ううん、今から食べようかな?と思って部屋から出て来た所」


「じゃあ3人で食べへんか?」



二人はファーストフード店のセットと思われるものを買ってきてくれた。



「悠菜ちゃんの好みは分からないから適当に買ってきたけど良かった?」


「うん。好き嫌いはないから大丈夫!」

「そう?良かった!じゃあ食べよ」

「うん、後でお金渡すね」

「良いよ」

「大丈夫や」



「…でも…」


「俺達のおごりだから、その代わり夕飯期待してるね」


「そうきたか!」


「うん」




私達3人は、色々、話をしながら昼にした。




「買い物行くの?」と、亮平君。


「うん、材料買いには出掛けるかな?だけど、何を作るかも決まってなくて…店にでも行って考えてみようかな?と思っていたんだ」


「そうか」

「すぐ行く感じなん?」

「ううん」

「じゃあ、俺達また出掛けるけど一人で大丈夫?」

「うん大丈夫だよ」


「何かあったら連絡…あっ!そういや連絡知らんやん。悠菜ちゃん、連絡先交換しよか」


「あ、うん」



私達は、連絡先を交換しあう。




「ほな、出掛けてくるわ!」

「うん。行ってらっしゃい!お昼御馳走様でした!」

「いいえ。じゃあね!悠菜ちゃん」

「うん」



しばらくして私も買い出しに出掛けた。




《今日は何しようかな?和食?中華?洋食?》

《カレーはありきたりだし…》



「あっ!」



私は、ある食材に目が止まり、買い物をする事にした。





―――― 夕方



「たっだいま〜!超良い匂いがするんだけど!」


竜神君が言った。



「悠菜ちゃん、何作ったの?」と、亮平君。


「おっ!トンカツやん!」と、康介君。


「初めてだから形は悪いけど…」


「大丈夫だよ。形が悪くてもお腹に入れば一緒だよ。悠菜ちゃん」


恭吾君が言った。



「そうだな。愛情入ってるなら問題ない!」


零一君が言った。




みんなは残さず食べてくれた。





―――夜



お風呂を済ませ、明日の仕込みをしようと食堂に向かう。



しかし、何か様子がおかしい。


誰もいないはずの食堂から引き出しを開け閉めしている音が廊下まで聞こえる。




《泥棒?》



「悠菜ちゃん?」




ビクッ



「…亮平君…」

「どうしたの?」

「泥棒…かも…」

「えっ?」



亮平君は、のぞくように食堂の様子を見る。




「みたいだね。犯人は3人。目出し帽を被っている…。俺、警察に連絡するから」




亮平君は、私の傍で警察に連絡しながら私を気にかけている。




次の瞬間―――




グイッと私の背後から抱きしめるように私に何かを突き付け怖くて動けなかった。




「きゃあっ!」


「悠菜ちゃんっ!野郎っ!みんなーー、泥棒だーーっ!」




みんなの部屋のドアが一斉に開いた。



玄関から逃げようとする犯人の前に康介君、竜神君が、ドアの前に立ち塞がり、行く道を阻まれ、犯人は私を人質にするように背後から抱きしめるように捕まえた。


残りの二人は、窓から逃げようとしたのか、恭吾君と零一君から逃げられず犯人とやり合っているのか騒々しい。


既にパトカーが来ている様子で、赤いランプがクルクルと回っているのが分かった。




「彼女を離せよ!」



ドキン



《…亮平…君…》



「金目の物出しな!」



ビクッ

背後から聞こえる声に怖くなる。



「ないよ!ここは学生寮だし、大人が管理してんだ。あいにく大人は留守なんだ。分からないから出せないよ!」



「チクショーーっ!」



グイッと私を更に抱きしめ、引き摺るように移動し始める。



私は相手の手を噛んだ。




「いてーーっ!テメーーっ!」




ドカッ



ドスッ



犯人に、寮生が遅い掛かり、捕まった。



どうやら最近、ここの近辺に空き巣が相次いでいたらしく私達寮生が現場に遭遇してしまったようだ。



私は、安心したかのように体が崩れ落ちて行く。




「悠菜っ!」


「悠菜ちゃんっ!」



各々、私の名前を呼ぶ中、誰かが私を抱き留めた。




「大丈夫か?」

「…康介…君…。…うん…ごめん…」


「いや…別にええねんけど…ちゅうか何しようとしたん?」


「えっ?…あっ、うん…明日の仕込みを…」



「明日の仕込みて…」と、康介君。


「悠菜ちゃん、無理しなくて良いよ」と、亮平君。


「そうだぞ!」と、竜神君。



「女の子だからしなきゃという意識が高いのかな?」


恭吾君が言った。



「だろうな」と、零一君。



「で?やるんか?」と、康介君。


「あんな事あって眠れないから」


「それもそうだな。じゃあ、みんなで遊ぼう!」



竜神君が気を効かせてか言った。




「賛成。俺も眠れないし」と、亮平君。


「お陰で目が覚めた」と、零一君。


「俺も〜」と、恭吾君。



康介君は頭をポンポンとした。




ドキン



「あんまり無理したらアカンで」


「…うん…」



《康介君、意地悪な事を言ったりするけど》

《優しかったりするんだよね》



寮生は、みんなで遊ぶ事にし、そんな中、私は仕込みをする事にした。

















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