第3話 荷物持ち
「栄次さん」
「なぁに?」
「街に出るんですけど何か買ってくる物ありますか?」
「そうねぇ〜…思い付くものはないんだけど〜、何かあったら悠菜ちゃんにメールするわ」
「分かりました!それじゃ行って来ます!」
「はいは〜い。行ってらっしゃい!気を付けてね〜」
「はーい」
私は街に出掛けた。
用事を済ませながら転々と渡り歩く。
その時、一つの店内を回っていると
「あっ!この洋服可愛い〜♪いつか近いうちにゆっくりショッピングしなきゃ」
そして、買い物の途中、栄次さんから連絡が入り買い物を済ませる。
買い物帰りに寮に向かっている時の事だった。
「彼女、荷物持ちましょうか?」
背後から声がした。
「いいえ、結構です!」
私は見向きもせず返事をする。
「そう言わないで持ちますよ」
「結構です!」
「何やねん!人の行為をっ!」
「えっ!?」
足を止め振り返る私の視線の先には康介君の姿があった。
「康介君っ!?標準語だけど何かイントネーションがあるな〜とは思ったけど…」
「そうか?ほら、荷物貸しや!」
「大丈夫だよ」
「ええから」
そう言って荷物を取り上げるように買い物袋を取り、帰り始め私達は肩を並べて帰る。
「ここは素直に、ありがとう云うて、持たせるもんやで?それが可愛いんやから」
「それは康介君の理想でしょう?」
「いやいや普通やろう?」
「そう?」
「荷物持つ言うてんのにから良いって言われたら腹たつで〜」
「腹は立たないでしょう?」
「いや、俺はアカン!」
「じゃあ、今度から素直に荷物持たせてあげるね。超重いの!」
「アホっ!お前が持たれへんの持てるか!持った時点で腰と腕が砕けるわ!」
「アハハ…大丈夫だよ!男の子だから」
「何でやねん!限度っちゅーもんがあるやろう!?」
「大丈夫、大丈夫」
「おいっ!」
そして、寮に帰宅しみんなが勢揃い。
「ただいまー」
「ただいまー」
各々、言う。
「おかえりー」
みんなから返ってくる返事。
「お前ら二人でデートか?」と、竜神君。
「ちゃう!」
「違うし!」
私達は同時に即否定。
「息ピッタリ!」と、亮平君。
「ただの偶然」と、私。
「そうや!」と、康介君。
私は康介君が持ってくれていた荷物を康介君から預かると栄次さんに渡す。
「はい、栄次さん。頼まれた買い物です」
「ありがとう。重かったでしょう?」
「大丈夫だったんですけど、偶然に康介君に会って荷物持ってくれてたので…」
「まあ、そうだったのね〜」
「はい!」
そう言うと
「あっ!ねえねえ」
私はさっきの事を思い出し
「何?」と、亮平君。
「さっき康介君と話をしていたんだけど、もし、女の子が荷物持ってて男の子から荷物持ってあげるとか手伝ってあげるって言われたら、やっぱり素直にありがとうって言って持たせるべき?」
「あー」と、竜神君。
「まあ」と、亮平君。
「その方が良いんじゃないのか?」と、零一君。
「ほらっ!普通そうやろ?」と、康介君。
「そういうものなのかな?でも全部が全部じゃないよね?それに、そういう事言ってくれる男の子って、そういないよね?」
「いない訳じゃねーけど、場合によっては好きな子とか気になる子なら手伝う事もあったりするけど」
亮平君が言った。
「ほら!そういうのもあったりして手伝う事って、そうないはずだよ!つまり、両極端ある訳だ!」
「でも全部が全部じゃねーし!」と、竜神君。
「まあ、女の子のそういう姿を見たりしたら手伝ってあげようって気持ちにはなるけど、人それぞれかもしれないね」
恭吾君が言った。
「そうだな」と、零一君。
「だけど、悠菜に関しては素直に持たせへんかったもんなー?大丈夫!言うてたし」
康介君が言った。
「だって自分が頼まれた荷物とか持たせるの悪い気がするから」
私は言った。
「まあ、そういう人もいるだろうな」と、竜神君。
「でも、俺達に関しては別に遠慮しなくても良いと思うよ」
亮平君が言った。
「そうだね。同じ寮生だし」と、恭吾君。
「余り深く考えないでも良いと思うが?」と、零一君
「うーん…取り敢えず部屋に行こうかな?栄次さん後で手伝います。荷物、おいてきます」
「あら〜、疲れたでしょう?大丈夫よ〜」
「いいえ。大丈夫ですよ」
私は部屋に行き、荷物を整理しリビングに行った。
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