第6話 事件の噂
「悠菜」
部屋に戻ろうとした私を竜神君が部屋の前で呼び止めた。
「何?」
「…いや…」
「……?」
「…悪い…えっと……」
何か言いたそうなのが分かる。
別に告白とかの雰囲気じゃない様子だ。
「女の子、紹介して欲しいの?」
「いや、違うし!」
「じゃあ何?」
「お前に報告しなきゃならない事があるんだ」
「…えっ?」
「気を付けて行動して欲しい」
「えっ!?」
「悠菜ちゃんに魔の手が伸びてくるかもしれないんだって〜」
別の方向から割って入ってくる声。
「うわあっ!」
「きゃああっ!」
「恭ちゃんっ!!」
「恭吾君っ!!」
「そうだよね〜。竜ちゃん。その事を伝えたいんだよね?」
「まあ…そんな所かな?まだ確定じゃないから、ハッキリとした事が分からなくて俺の友達から聞いた話しだから」
「最近、寮生に色々あってさ」と、竜神君。
「みんなと話をしてたんだ」と、恭吾君。
「私抜きで?同じ寮生なのに?」
「急な話しだったから、野郎ばっかで話をしてたんだ」
竜神君が言った。
「…そうか…」
「詳しく分かれば良いんだけどさ、悠菜にどう説明すれば良いか分からなくて…マジ悪い!」
竜神君が言った。
「ううん…」
「じゃあ…」
「うん…」
竜神君は、私の前から去り部屋に戻った。
「悠菜ちゃん、大丈夫だよ。俺が傍で見張ってるから。出来る限り一緒に行動しよう!」
「…恭吾君…うん…」
「一人で行動しないようにすれば良いから」
「…うん…」
頭をポンポンとする恭吾君。
ドキン
いつになく優しい眼差しの恭吾君。
「…恭吾…」
グイッと抱きしめたかと思ったら、私の手を掴み恭吾君の部屋に連れ込まれ、私の両肩に手をおいた。
ドキン
「実は寮生の男子生徒の1〜3年が、とある女子高生に呼び止められて告白されてから、ストーカー行為な事をされているらしいんだ」
「えっ…?」
「だけど、そういう事ばかりじゃなくて、色々な方法で男子が狙われて、その男子高生と仲良くしていた女子高生が事件に巻き込まれているパターンもある」
「…どういう事?」
「現段階では、ハッキリした事が分からなくて…亮ちゃんと康ちゃんが他校生に告白されてから、その後、その彼女達が巻き込まれて…多分、男女を狙った事件だと思う」
「その事件って…?」
「それが分からないんだ」
「犯人の特定は出来ないの?」
「学校も学年も全く分からない。話によれば声かける女子は私服らしいから特定されないんだ。まさか、そういう事件に巻き込まれるなんて思わないから解決策が見付からないのが現状。警察も動けなくて事件は平行線」
「とにかく街に行く時とか声を掛けるんだよ。絶対に一人で行動したら駄目だからね」
「うん…」
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