第3話 寄り道

ある日の放課後――――正門の所で。




「悠菜ちゃん?」


「あれ?恭吾君、まだ帰ってなかったんだね。見かけなかったから帰ったのかと思ってた」


「用事あったから」


「そっか」


「どうかした?何か考えてる感じだったけど」

「えっ?あ、うん…街に出ようか迷ってて」

「そうなんだ。一緒に行ってあげようか?」

「えっ?…でも…悪いし…」


「一人じゃ危険だよ。女の子だし。亮ちゃんとかも街に出ているだろうけど会える保証もないし」


「…そうだよね…」

「行こう!付き合うよ!」

「じゃあ…お願いして良いかな?」

「OK〜」



向かった先は、CDショップ屋さんだ。



「あっ!あった!」

「へぇ〜」

「ん?」



ドキッ

かなりの至近距離に胸が大きく跳ねた。



「うわぁ…恭、恭吾君…顔が近いよ…」

「あ、ごめん」

「ううん…」

「お顔真っ赤だよ。悠菜ちゃん」



クスクス笑う恭吾君。



「し、仕方ないでしょう?」


「クスクス…悠菜ちゃんも、このアーティスト好きなんだね」


「あっ、うん。良い曲歌うし、歌詞が好きなんだ♪」

「俺も好きだよ。このアーティスト」

「そうなんだ。あっ!じゃあ会計してくるね」

「うん」



私は会計をする為、レジに行った。



会計を済ませ、恭吾君の元へ行こうとすると恭吾君はヘッドフォンで試聴している。



《カッコイイから様になっている…女子高生がみんな注目してる》



すると、視線を感じたのか、私の方に振り向き目が合い私に向かって手招きした。


私は視線が集中する中、恭吾君に歩み寄る。



グイッと肩を抱き寄せる。



ドキッ

胸が大きく跳ねた。



「聴いてみて」

「うん…」



ヘッドフォンを渡され私は聞いてみた。


ヘッドフォンから聴こえてくるのは、女性ボーカリストと男性のユニットの曲のようだ。


バラードに近いけど、テンポのある曲調が私の好きなアーティストと似てる。




そして――――



私の頬を突っついた。


私はヘッドフォンを少しズラす。




「聴き入ってると帰り遅くなっちゃうよ。悠菜ちゃん」

「あっ!そうだった」



クスクス笑う恭吾君。




「帰ろうか」

「うん、そうだね」



私達は帰る事にした。


私は視線を感じながら店を後に帰る。



「ねえ、恭吾君ってモテてたでしょう?」

「俺?どうかな?どうして?」


「さっき、CDショップ屋さんでかなり注目浴びていたから」


「あー、確かに視線痛かったね。俺、普通にしていたけど、チクチク刺さって体全身から出血してるんじゃないかと思った」


「ハハハ…血が出ていたら周囲は血塗れだよ」

「本当、病院行きで出血多量だね」

「そうだよ」



私達は色々と話をしながら帰る。


周囲の視線を感じながら。



その途中の事だった。




「あれ?二人でデート?」と、竜神君。


「いつからそういう関係になったん?」と、康介君。


「えっ?そうなの?」と、亮平君。



3人の寮生に遭遇した。




「いつからって実は…この世に生まれた時には既に恋に落ちちゃってー」


恭吾君が言った。



「どんだけ幼いんだよ!」と、竜神君。


「お腹の中からじゃないねんな」と、康介君。


「それはそれで、かなり凄いし!」と、亮平君。




私は恭吾君の一言で、3人の各々違うタイミング良い突っ込みに笑ってしまった。




「ほら〜、あまりの馬鹿な会話に悠菜ちゃんが笑い転げてるよ」


恭吾君が言った。



「いやいや転がってねーし!」と、竜神君。


「転がってるなら汚れてるやろ?」と、康介君。


「そうそう」と、亮平君。


「ハハハ…ナイスこんだね。レベル上げたら、お笑いも夢じゃないかも?」


と、私。



「じゃあ悠菜ちゃんが第一号のファンやな?」


康介が言った。




「ついでにマネージャーしようか?」と、私。


「マネージャーは駄目だよ」と、恭吾君。


「えっ?どうして?」と、私。


「女の子だから色々と、あの手この手で使って業界のお偉いさんが色々と仕掛けてくるから悠菜ちゃんが大変な目に遭うよ」


と、恭吾君。



「あー、それはあるかも?」と、亮平君。


「確かに女の子に対して男は汚いやり方しそうだな?」


と、竜神君。



「えっ?それは…」



私達は色々と話をしながら寮に帰るのだった。








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