第2話 入学式

入学式当日――――


女子は少ない。


正直……へこむ…




「………………」



しかも、私は注目の的。


嬉しいというよりも恥ずかしい。



「マドンナだね?悠菜ちゃん」



恭吾君が言った。



「恭吾君…。いや、でも女子が少ないから正直へこむ」


「女の子は少ないけど俺達がいるから」


「そうなんだけど…」




そしてクラスは―――――



「1年間宜しくね♪悠菜ちゃん♪」

「うん。宜しく!」



恭吾君と一緒だ。




《恭吾君、モテるんだろうなぁ〜》



恭吾君を見つめていると視線を感じたのか振り向く恭吾君。



「ん?何?」

「う、ううん」

「そう?」



ある日の放課後、門を出てすぐの事だ。



「あれ〜?」

「女の子いるし!」



そう言って歩み寄る他校生の男子生徒達。


そして、私の肩を抱き寄せる。



「な、何ですか?」


「そういえば今年からだっけ?女子が通う事になったの」


「君。可愛いね!」



「……………」



「彼氏いるの?」

「ねえ、今から出掛けない?」

「すみません…私…忙しいので…」



そう言って払いのけ去り始める。



「あれ〜?これは要らないの〜?」


「えっ?」




振り返り、視界に入ってきたのは私の携帯だ。




「あっ!」


「大事な物だよねー」

「反則です!返して下さいっ!」

「だったら付き合ってよー。か〜のじょ」



「……………」



「悠菜ちゃん、どうかした?」

「…恭吾…君…」

「今にも泣きそうな顔してるけど」




そして他校生の人達を見て何かを察したようだ。




「彼女に何か用ですか?」

「別に携帯拾ってあげただけだし」



「………………」



「本当にそうでしょうか?…俺の考えが間違っていないなら拾った変わりに付き合ってよ!…もしくは…意地悪している…そんな感じですよね?」



「……………」



《何だろう?恭吾君…何か違う?気のせいかな?》



「高校生にもなって小さな子供みたいなやり方、辞めた方が良いですよ〜」



《ん?普段の恭吾君?》



「チッ!」



舌打ちをし携帯を投げるように私に返し帰って行った。




「…ありがとう…」




頭をポンとする恭吾君。




ドキッ




「大丈夫?」

「…うん…」

「嘘つかないの?かなり泣きそうな感じだったよ」


「…そんな事…」


「さあ、帰ろう悠菜ちゃん。それとも何処か行く予定だっかな?」




私は首を左右に振る。



「じゃあ帰ろうか?一緒に」

「うん…」



私達は一緒に寮に帰る事にした。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る