第4話 事件
転校して慣れる迄の私は、日替わりで特に放課後の学校帰りは、寮生と帰るようにみんなと話し合った。
正直、申し訳ないと思うけど、女の子の一人歩きは危険だからとの事。
一応、慣れる迄として話はしてあるんだけど――――
それから随分と慣れ、私は帰り一人で大丈夫という事をみんなに伝え一人行動する事が増えた。
ただ、街に行く事に関しては意識してなく出かけるとなれば、寮生の誰かに声をかけるか、単独行動。
学校から寮の往復ばかりの日々だった私は、街に行く事がなかった。
正直、ショッピングをしたいと思う今日この頃。
私は、ある日の学校帰り、街に行く事にした。
どうしても外せない用があったからだ。
一人不安な中、街に行ったものの事件は起きた。
「彼女、一人?」
他校生の3人の男子生徒に囲まれた。
「あの…」
「ねえ、その制服見掛けないけど何処に通ってんの?」
「か、関係ないと思いますけど」
「えー、良いじゃん!」
「良くないです。失礼します!」
彼等の間に割って入るように押し退け去り始める。
グイッと肩を掴まれ抱き寄せるようにされた。
「や、やだっ!は、離して下さいっ!」
「付き合いなよー」
「嫌です!」
「遊びに行こうよ!」
「やだっ!」
「良いじゃん!」
「良くないっ!離してっ!」
その時だ――――
「その子に何か用?」
声のする方に目をやると、そこには竜神君の姿があった。
「あ?別にテメーには関係ねーだろ!?」
「そうだけどさ〜、嫌がってんのに無理はよそうよ」
「うるせーなっ!つーか制服同じじゃね?」
「共学だったけ?」
「つーか…そんな事より彼女は今から遊びに行くんだよ!」
「じゃあ、俺も混ぜてよ!」
「はあああっ!?」
「ふざけんなっ!」
「意味、分かんねーし!」
「一人でも多い方が楽しいっしょ?」
「テメーは、来なくて良いし!」
「じゃあ彼女返して!」
「声かけたの俺等だから悪いけど返す訳にはいかねーな」
「…そう…だったら力づくでも彼女返してもらおうかな〜?」
「あ?やんのか?」
「力に自信ないけど…警察沙汰になるのも面倒なんだけどな〜」
「ゴチャゴチャ言ってんじゃねーぞ!」
「手加減しねーぞ!」
「警察が怖くてやってられるか!」
そう言うと彼等は遅い掛かった。
スッと交わす竜神君の姿。
相手は足を掛けられ地面に転んだ。
「あー、ごめーん。足が勝手に」
「野郎っ!」
二人目が襲い掛かる。
ヒョイっと竜神君に交わされバランスを崩し地面に転んだ。
「野郎っ!ふざけんじゃねーぞ!」
「はあああっ!?ふざけてんのどっちだよ!お前らだろう!?」
ナイフを出してきた。
「いやいや…それは反則っしょ?」
「そんなの知るかっ!」
「…年の変わらねー奴が、そんなもんに頼らねーと駄目なんて情けねーなー!」
ドキン
「悠菜ちゃん、ごめん、ちょっと本気出すから離れてな!」
ドキッ
「う、うん」
ドカッ
カラン
竜神君は、うまく交わしつつ、相手のナイフを落とし、相手はやられてしまった。
「……………」
「つー事で俺の勝ち!彼女は返してもらうから!」
グイッと私の手を掴み歩き出す。
「…ごめん…ありがとう…竜神君」
「えっ?べ、別に!」
少し照れくさそうに顔をそらす。
顔も赤いようにも見える。
私は竜神君の顔をのぞき込む。
「な、何だよ!」
「可愛い♪」
「はあぁぁっ!?」
「意外に純なんだね」
「お前に言われたくねーぞ!」
「どうして?」
ムニュと両頬を抓(つね)る。
「…痛い…」
「男子に可愛いは駄目ーっ!普通、可愛いは女子に対して言う台詞だから」
そう言うとパッと離す。
「大体、純な所は、お前が負けてねーだろ?恭ちゃんにいっつもからかわれて顔真っ赤にしてんの誰だよ!」
「恭吾君は意地悪して楽しんでるんだよ。大体、不意打ち過ぎる事ばっかで」
「ふーん」
「だからってみんながみんなに同じ事にならないからっ!」
「へぇー、ならないんだ」
「なりませんっ!」
次の瞬間――――
グイッと私の手を掴み路地裏に連れ込むと至近距離で両手を壁につき行く道を塞いだ。
ドキーッ
突然の出来事に私は胸が大きく跳ねた。
「ならないんじゃなかったのかよ?春日 悠菜」
「…は、反則っ!」
「何のルールもなかったじゃん!」
スッと離れ帰り始める竜神君。
「帰るぞ!」
「あっ!ちょっと待っ…」
ガクッと転びそうになる私。
「きゃあっ!」
「うわっ!馬鹿っ!」
ドサッ
抱き留める竜神君。
ドキッ
至近距離の顔に再び私の胸が大きく跳ねた。
その様子が伝わったのか竜神君も顔が赤いようにも見える。
「ご、ごめん…」
「べ、別に…」
私達は慌てて離れ竜神君は帰り始めると同時に、グイッと私の手を掴み手を繋いだ。
ドキン
「お前といると心臓持たねーから!手繋いでねーと、お前迷子になりそう」
「ひ、酷っ!」
「特別だからなっ!」
私達は騒ぎながら帰る中、とある店のショーウィンドーに飾られている洋服に目が止まる。
「悠菜?」
「この洋服、可愛い〜♪」
「へぇ〜、センス良いじゃん!」
「えっ?」
「お前に似合いそうじゃん!でもさー…その前に見せる相手見付けるの先じゃね?」
「そ、それを言うなっ!」
クスクス笑う竜神君。
そして繋いでいる手を離す。
「つーかさ、悠菜、街に出るなら寮生の誰かに声掛けな」
「えっ?」
「今、こうして俺いるの、お前が街の方に行くの気付いたから良かったけど…お前…単独行動は辞めた方が良いんだからな」
「あっ…確かに…。今思えば…竜神君いる…」
「…お前なぁ〜」
「ごめんっ!」
「全く!帰るぞ!」
「うん」
私達は帰る事にした。
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