第2話 戦闘の帰結
ところで俺たちがなぜこんな状況にあるのかというと。
今日、この会話の舞台 《ラタイアイ平原》では、人間と魔界の王の軍勢との決戦があったんだ。
人間陣営の中心は、神の《加護》により強力な力を得た《勇者》たちが率いる《勇者ギルド》で、そのギルドを中心に、様々な国の兵士が集まって大規模な陣形を組んだ。そしてこの軍勢の数の有利を活かすために、ギルドマスターの決定により、魔界の〈怪物〉が侵攻してくると予測された経路で最も広い平原に布陣していた。
――結局はこの有様だったんだが。
戦闘の帰結はこうだ。
《勇者》中心の陣形が、正面から巨大な〈怪物〉達にぶつかると共にこの決戦は始まった。
最初の衝突は《勇者》たちがよく防いだ。〈怪物〉1体に《勇者》1人が次々と組み合い、剣や槍を振るい、或いは魔術や異能で対抗した。
運の良い《勇者》は一撃で相対する〈怪物〉を討った。逆に運の悪い者は一撃で地に伏した。
その他大勢の兵士達は《勇者》と共に〈怪物〉に挑み、運命を共にした。
五分に見えた《ラタイアイ平原》の決戦は、戦いが続くにつれ主導権は人間から〈怪物〉へと移った。
それぞれの《勇者》と〈怪物〉の決着がつくにつれ、人間陣営の戦力のバランスが崩れていったのだ。もとより〈怪物〉は強力な肉体に強力な〈ブレス〉など、個々が〈怪物〉たる所以のスペックを備えていた。
それに比べて人間陣営は、各 《勇者》のステータスや《加護》の相性などをよく考えた上で巨大な陣形を形作っていた。
しばらくたって陣形がほころんだ時が、人間陣営の総崩れの始まりとなった。
《勇者》たちは身体の動く限り戦い続けたが、周りにいた兵士たちは心の折れたものから逃げ出し始めた。しかし背中を見せたものを見逃すほど魔界の生き物は甘くない。むしろ逃げ出したものから餌食となった。
――こうして時は今に至る。準備するだけ準備して、正面からの大敗北を喫したっていうのが結局の顛末だった。
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