四十七話 一件落着?

「…………は?」




 俺の言葉を聞いたサピエルは、今の言葉を理解していないようで口を開けたまま硬直している。


 なので俺が浮かんだ考えを、彼を含めてリリアたちみんなに説明する事にした。




「これは推測なんだが、彼女たち元々のステータスと、俺の<支援職人グランド・サポーター>で上がった分の差が出ているんじゃないかと思うんだ」




 説明を聞いた事で理解が追い付いたのか、サピエルは声を上げた。




「ふ、ふざけるなっ!!」




 サピエルは今にも掴みかかってきそうなスピードで近付いてくる。


 俺はそれを止めようと、続けて話す事にした。




「落ち着けサピエル! 俺たちが戦ったデザート・ワームも確かに、かなり硬かったと思う。だがそれでもダメージは入っていた」


「そうですねっ、私もそう見えました!」


「ほとんど削ったあたしが保証するわ」


「あらあら。口を挟まないの」




 俺たちが戦った時の事を喋ると、それにリリアが同意する。


 実際に一番多くダメージを与えていたであろうラプスウェルは胸を張るが、イリスに叱られている。


 全く、緊張感がないな……。




「とにかく、俺たちのステータスと比べると低いんじゃないかと思ったんだ」


「シンッ!! お前えぇぇっ!!」




 俺の言葉に我慢出来なくなったサピエルが叫ぶ。


 それと同時に走りだし、俺に向かってきた。


 だが俺はそれを見ると、こんなに遅かったかな……なんて考えながら、ただ一歩動いて軽く避ける。


 すると次の瞬間、走った勢いのままにサピエルは近くの机に突っ込んだ。




 ガシャアアァァンッ!!




 近くで食事をしていた他の冒険者たちのテーブルも巻き込んで、サピエルは転がっていく。




「うわっ!」


「こっちにまで!?」




 周囲の冒険者たちが、これ以上巻き込まれないように慌てて距離を離していく。


 サピエルは立ち上がり、人だかりを鬱陶しそうに掻き分けながら俺に吠え立てる。




「シン、お前は昔からそうだ! 俺の邪魔ばかり……!」


「そんな事はしていない。お前がパーティのリーダーだったし、俺は自分に出来る事をしていただけだ」


「うるさいっ!! お前さえいなければ!!」




 懲りずに俺へと向かってきたサピエル。


 また周りに被害が出そうだったので、今度は避けずに立ち向かう事にした。




「サピエル、もういいだろう!」




 俺は真っ直ぐに走ってきたサピエルの足を引っかけ、浮いた身体を殴って床に叩き付けた。




「ぐはっ!」


「やっぱり。俺とお前じゃあステータスが全然違うんだ、認めろよ」


「くそ……が……!」




 床に這ったままのサピエルは、まだギリギリ意識を保っているようだ。

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