四十一話 先手必勝、デザート・ワーム戦
俺たちは砂漠フィールド<ワイバーンの通り道>でデザート・ワームの痕跡を探していた。
昨日は『一日デート権』とやらが通されてしまったが、こうしてクエストに来る事が出来たのでよしとしよう。
今日の目標であるデザート・ワームは、名前からも砂漠下での戦闘は予測出来る。
事前に準備はしてきたので、ある程度は簡単に倒せる……と思う。
攻撃力は夜狼との一戦で充分な事が分かっているからな。
「それにしてもこんな砂漠の真ん中で、どうやって見付けたらいいのよ」
「ここ……あつい……」
「ええと、確か……砂が少し盛り上がっていて、たまに砂が噴き出しているところに潜んでいる。でしたよね?」
「そうだ。よく調べてきてるな」
「えへへ」
しっかり調べてきたリリアを褒めてやると、嬉しそうに笑う。
彼女が犬種の獣人族だったら、いかにも尻尾を振っていそうな反応だった。
「あそこ」
「あら? 本当ね。多分当たり、じゃないかしら」
「……確かにそうだな。俺もそうだと思う」
俺たちが話しているうちに、ルクシアがデザート・ワームの
ここからは音や振動に敏感なデザート・ワームに、気付かれないように近付くのが大事だ。
「じゃあ俺が近付いて、この風船型のおもちゃを使って音を鳴らす。そうしたら反応があると思うから、一斉に叩く」
「シンプルでいいわね」
「はいっ、大丈夫です!」
「よし、じゃあ行ってくる」
俺は破裂音が響く事で有名なパーティ用のおもちゃを握りしめて、ゆっくり、少しずつ、歩いていく。
暑さと緊張で汗が流れだすが、気にせずじりじりと砂巣に近付いていく。
あと……もう一歩……。
よし、この辺りならしっかり音が届くだろう。
この風船は、先の方に付いているヒモを引っ張る事によって、風船が弾けて音が鳴る仕組みだ。
俺は一瞬後ろを振り向き、みんなに目線で合図を送ってから思いきりヒモを引っ張った。
パアァァンッ!!!!!
音がしっかりと響いた瞬間、デザート・ワームが姿を現した。
「今だっ!」
「はい!」
「こんな気持ち悪いやつ! すぐに終わらせるわよ!」
「あらあら、じゃあ私は早速新しいスキルを使うわね。<
「あつ……いぃ……」
俺たちは一斉にデザート・ワームに襲い掛かる。
だがその中で一人、ルクシアだけがフラフラとゆっくり歩いていた。
……果たしてあんな状態でルクシアは戦力になるのか?
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