十九話 底辺パーティの第一歩

 俺たちは一つ上のランクだが、Eランクの『ウルフの群れ討伐』のクエストを受ける事にした。


 五分という短い時間だったが、事前に準備してきた俺たちはそのまま出発する。




 ウルフは主に、草原や森といったフィールドに生息しているモンスターだ。


 目的地から街は歩いて数十分で着く距離だ。


 遠距離を移動する場合は、転移陣ポータルを使って移動するが今回はその必要がない。


 なので俺は軽く話しをしたり、質問したりしながら歩いて向かう事にした。




「討伐対象のウルフだが、みんな戦った事があるみたいだったな」


「そうですね、私の矢が全然当たりませんでした」


「あたしのスキルも全く当たらなかったわ」


「わたし、たおした」


「うふふ、そうね。私は攻撃スキルを持っていないから、ルクシアちゃんだけでなんとかクリア出来たのよね」




 俺は前回の話しを聞きながら、どう戦闘を進めるか考えていた。


 正直こんなデタラメみたいなステータスなら、あれこれ考える必要もないと思う。


 だがまずは『個人で戦う』んじゃなくて『パーティで戦う』事を意識して貰いたかった。


 チームワークが悪いという事は、きっとそういう考えがないからだと思ったからだ。


 という訳で戦闘で連携が出来るかは、各自の持っているスキル次第か。




「急に悪いがみんなの持っているスキルを聞いてもいいか? あぁ、種族固有のスキルは省いてくれて構わない」


「はい! 私のウルトは風の力を借りて矢を強化するエアリアルアロー、それとMPを少し使って複数の矢を作りだして射るマルチショットです」


「便利そうなスキルだな、じゃあ次はルクシア頼む」


「うん。わたしのウルト、てきの弱点をこうげき、それといっぱい疲れるけど、シャドウだせる」


「シャドウ?」




 俺はルクシアのスキルが気になったので口を挟む。


 疲れると言っているのでおそらくMPを大量に消費する、という事だろうか。


 だがMPの消費が多いスキルは、それだけ強力なスキルの可能性がある。




「そう、シャドウ」


「あらあら、代わりに説明するわね。ルクシアちゃんの言うシャドウとは幻影シャドウの事で、自分の分身を作り出して自由に動かせるのよね」


「そう」


「なるほど、説明してくれて助かった」




 口下手なルクシアの代わりにイリスが説明してくれた。


 ウルフとの戦闘に活かせるかは分からないが、これは強そうなスキルだ。


 続いてラプスウェルとイリスのスキルも聞く事にする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る