二十話 予感
「じゃあ次はあたしね、自分の血液を使ってパーティ内の誰か一人を活性化させられるわ。具体的に言えばその人のスキル全てのクールタイムが一回だけなくなるのよ、それがあたしのウルトね」
「それはかなり凄いんじゃないか? 自分に使えばMPがあるだけスキル使い放題じゃないか」
「自分には使えないのよ。それに『血液』を使うって言ったでしょ。だからあんまり使い過ぎると倒れちゃうのよ。まぁ、回復すれば関係ないけどね」
ラプスウェルは「ちょっと使い勝手が悪いのよ」と言って少し笑った。
だが俺はそんな事はないと思う。
もしかすると……いや、使い方次第でかなり強力なアルティメットスキルかもしれない。
「あとはMPを使って、二倍の攻撃力で発動するアクティブスキルね」
「二倍か、今のステータスで考えたら二倍でも破格の威力になりそうだ」
攻撃をする時に発動させるタイプ、つまり一定量のダメージを与えるスキル。
所謂ダメージスキルと呼ばれるアクティブスキルは、200%や300%が一般的な威力だ。
だが俺たちヒト族が持っている場合は最低でも500%。
更にそのスキルがユニークだった場合はまだ上がある。
ヒト族でもヒト族以外でも、消費MPは同じ程度なのにだ。
この他にもいくつかあるが、ヒト族の特別扱いされている部分と言える。
「それじゃあ最後は私ね」
「あぁ、イリスも頼む」
「あらあら、そんなに期待されるほど凄いスキルは持ってないわ」
イリスは笑いながら頬に手を当てた。
謙遜しているのだろうか、判断が付かないな。
だが魔族のラプスウェルがこんなに凄いスキルを持っていたんだ。
それなら神族のイリスも同様に、ウルトかスキルに強力な物を持っていてもおかしくはないだろう。
「まずはウルトがパーティのみんなを元気にして、更に掛かっている状態異常を治せるわ」
「回復系のウルトか。パーティにヒーラーは必須だからな、良いバランスのパーティだ」
「それとアクティブスキルが、敵の俊敏さを一定時間下げて自分の俊敏さを上げられるわ」
「神族が覚えられる物の中では、あまり聞いた事がない方向性のスキルだな」
「そうね、それは私だけのユニークスキルとも言えるわね。MP消費も少ないしクールタイムもすぐに終わるのよ」
イリスはユニーク持ちだったのか。
みんなどれも強力そうなスキルを持っているな。
これならウルフ討伐なんて、本当にすぐ終わりそうだ。
しかもポテンシャルを考えると、このパーティは今後化けるかもしれない。
かなり面白くなってきたな……。
俺はそんな予感を感じながら歩いていく。
今まで歩いていた草原のフィールドを抜けてすぐ。
目的地である、森林フィールド<実りの森>はもう目の前だ。
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