十八話 クエスト
俺たちは冒険者ギルドに着くと、早速受付嬢へ話し掛けてクエスト一覧表を見せてもらう。
難易度がSランクから始まりABC……と続く、最後のFランクのクエストは見なくてもいいか。
少し強いかもしれないがBランクの討伐系クエストを見繕う。
そのまま受けようとするが、受付嬢にパーティのランクが足りないと断られてしまった。
そういえばこのパーティのランクは聞いてなかったな。
「Bランクは受けられないか、まだ聞いてなかったがこのパーティのランクっていくつなんだ?」
「えっと……そのぉ、実はですね……」
「Dか?それともまだEなのか?」
リリアが言い出しにくそうにしているので、俺は助け船のつもりで聞いてみた。
するとルクシアが現状をハッキリと教えてくれた。
「わたしたち、Fランク」
「F……だと?」
「そうよ。あたしたちはまだ採集系や、小型モンスターの討伐しかした事がないわ」
ラプスウェルが気まずそうな顔で補足を入れてくれた。
Fランクか、まさか一番下のFとは思わなかった。
小型のモンスターの討伐クエストを、何度かクリアするだけで上のEランクに上がれる筈なのだが……。
「なるほど、まぁ受けられないランクを気にしたところでしょうがないからな。FかEを受けてみようか」
「はい!」
「あらあら、頑張りましょうね」
ギルドの規定では基本的に受けられるクエストは、パーティランクの一つ上の難易度までと決まっている。
パーティランクを上げるには、同じ難易度以上のクエストをいくつかクリアする。
そうすると、上のランク帯にあるクエストを昇級クエストとして受けられるようになっている。
早くランクを上げたい場合は同じ難易度をクリアするよりも、上の難易度をクリアする方が当然ながら昇級クエストまでの回数が少なくなる。
昇級クエストまでのクリア回数も固定ではなく、ポイント制という訳でもないので受付嬢から教えられるまで分からないのが不便さを感じるところだ。
一覧表をもう一度確認してみると上のランクだが、小型の討伐で良さそうなクエストを見付けた。
「よし、これにしよう」
「Eランクのウルフですか、小さいから私の矢がなかなか当たらないんですよね」
「あたしも。剣を当てようとしても、動きが早いからすぐに避けられちゃうのよね」
「その辺りは実戦で教えるさ」
「ウルフ、わたしより遅い」
「あらあら、鬼ごっこじゃないのよ」
緊張感のない会話を聞いていると、このパーティのチームワークの悪さとやらが見えてきた気がした。
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