十三話 煌めく出会い

 俺は猫耳の付いた少女を観察しながら、リリアが作っている食事が出てくるのを待っていた。


 猫の耳と尻尾が見える事から、この子は<獣人族>なのがすぐに分かる。




 獣人族とは、ヒト族にサブ種となる獣の特徴が混ざっている種族だ。


 この少女なら見たままの特徴、猫がサブという事だ。


 他にも犬や兎、多種多様なサブがいるが全て総称して<獣人族>と呼ぶ。


 それと獣人族の特徴は、やはりサブの性格が色濃く出やすい事だろう。


 だからこの少女は、日当たりの良い窓際の椅子に座って、こうして日向ぼっこのような事をしているのだと思う。




 こうして俺は暇潰しがてら、自分の知識を引き出しながら少女を見ていた。


 どれくらいの時間が経ったのか分からなかったが、段々と腹の虫が主張をしてきそうな良い匂いがしてきた。


 パーティメンバーが何人なのかは分からないが、炊事の全てをリリアが担当しているのだろうか。


 やはり王女のやる事ではないような気がするのだが……自主的にしている可能性もあるし、口を出すような事ではないか。


 俺がそう考えてると、後ろの方から誰かの足音が聞こえてきた。




「ちょっとー、リリア? イリスもいないの? ドライヤーって……ど、こ」


「邪魔をしている」


「え、は、どう……も。って、男!? きゃあああぁぁっ!!」




 亜麻色の髪で、その髪と同様にしっとりと濡れたままの少女。


 服一枚も来ていない状態、つまり全裸の少女が声を上げる。


 いや、タオルが一枚あるから全裸ではないのかもしれない。




「どうしました!?」


「男! 男がうちに!」




 別の部屋にいたリリアが、『お玉』を装備したまま状況を確認しに来た。




「あー、昨日言ったじゃないですか。今日は私たちの事を見てくれる人が来ますよって」


「それは聞いたわよ! 男なんて言ってなかったじゃない!」


「あ、あれ? そうでしたっけ……?」


「忘れんじゃないわよおぉぉっ!!」


「その……なんだか、すまんな」




 俺は少しいたたまれなくなってきたので、とりあえず謝っておく事にした。


 全裸の少女は顔を真っ赤にしながら、元来た方向へと走っていった。


 その後ろ姿からは<魔族>の特徴、お尻の付け根辺りから続く黒くて細長い尻尾が見えていた。

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