第2話  同居開始

「お邪魔しまーす」


 何故か今日からクラスの美少女兼ストーカーの桐花結夏きりはなゆいか

 同居生活を始めることになってしまった。


「へー。部屋綺麗にしてるんだ」

「まぁな……」


 高校入学まで両親が帰るのが遅い日が多かったので家事はよく

 していた。たぶんそれで掃除をする癖がついたのだ。


「結夏は掃除とかよくするのか?」

「あんまししたことないです……」


 これはマジのやつだ。流石お嬢様。


「そっか。なら料理は?」

「料理ならできる!家でよく作るの」


 よかった。

 料理もできなかったら休みなしのフル可動になるところだった……


「で、たとえば何作れるんだ?」

「カレーライスとカップ麺とか……」


 簡単すぎるしレパートリー少なっ!?

 最後のカップ麺ってなんだよ……お湯入れて待つだけじゃないか。


「じゃあ今日は私がカレーライス作るわね!」

「あぁ、頼む」







 キッチンから漂ってくるいい匂い。結夏がカレーを作っている。

 すごく心配…。


 作り始めて1時間ほどたっただろう。


 そろそろ……


「できたよ!」


 机の上に置かれたカレーは見た目はとても綺麗。

 美味しそう。でも、もしかしたら味が…。


「美味しい!すごく美味しい!」

「本当!? よかったー」


 今日はじめて話したクラスの女子が自分の家で美味しいカレーを作ってくれた。

 これは夢なのか…。


「夢じゃないよ」


 え、心がよめるのか?!

 流石ストーキングマスター……なんて凄い能力だ。


 そんなこんなで後片付けをしてリビングのソファーに座りテレビを観ていると結夏が真剣な眼差しで近づいてきた。


「ねぇ大事な話があるんだけど」

「ん?、どうした?」


 結夏がとてもかしこまっているので少し緊張が走る。


「今日栄汰に好きって言ったけど……別に好きなんかじゃないから!」

「え? でも昼には秘密にしろって言ってたよな?」

「それは好きでもないのに噂されるの嫌だから」


 じゃあ最初から好きとか言うなよ。


「じゃあ僕と同居する理由なんてないじゃないか」

「理由ならあるわよ、家賃がタダ!」

「僕がいつ無償で住んでいいって言った!?」


 僕はこれから始まる同棲生活がとても心配になった。






 自分の部屋で勉強をした後、僕は好きなラノベを黙読してニヤついていた。


 そして時計の針も11時前を指していた頃。

 そろそろ寝る準備でもしようかと思っていた時『コンコン』とドアをノックする音が聞こえた。


 ドアが開きお風呂上がりで髪が少し濡れている美少女が僕の部屋に入ってくる。


「ねぇ。私どこで寝ればいい?」

「あ、どうしよう」


 この家には普段人が泊まることもないのでベットも布団もない。


「なら寝室の僕のベットで寝てくれ」

「栄汰はどこで寝るのよ」

「僕はリビングのソファーで寝るから」

「だめだよ!私が泊めてもらってるのに」

「じゃあ、どうしろと?」

「一緒に寝るしかないでしょ」








 まずい…

 ベットが狭いせいで結夏の身体が僕の背中にたまにあたる。

 目を閉じても全然眠たくならないのがとっても辛い。


「ねぇ、栄汰」

「はいッ!?」

「私に変なことしないでね、したら許さないから」

「僕は好き同士でもないのに襲ったりはしない」

「ほんとかな〜」

「ほんとだ」


 その後は何故か自然と眠ることができた。








『一緒に寝よ』とか言っちゃったよー。どうしよう……

 でも仕方ない。栄汰をソファーで寝かすわけにはいかないし風邪でもひかれたら困る。

 でもいつまでここにいさせてもらえるんだろう……

 栄汰に彼女ができたりしたら出ていかないといけないんだろうなぁ。

 ん? 私なに考えてるんだろ。


 そういえばさっきから私の背中に栄汰の身体があたってるような……

 もう寝ちゃったのかな?


「ねぇ、栄汰」

「はいッ!?」


 起きてるし、すごい緊張してる。


「私に変なことしないでね、万が一したら許さないから」

「僕は好き同士でもないのに襲ったりはしない」

「ほんとかな〜」

「ほんとだ」


 うん。たぶんこの人なら信じてもいい。














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