第3話 これって嫉妬?
誰かが僕の身体を揺する。
「ねぇ、起きて」
起きると目の前に超絶美少女がエプロン姿で立っていた。
「え?なんで
「あなた正気なの?」
そうだ、僕は昨日からこの美少女と同居生活を始めたんだ。
「早く起きないと学校遅れるわよ」
僕は遅れて特別指導を受けるのも嫌なので起きることにした。
リビングへ行くと結夏がキッチンに立っている。
そして部屋にはバターの香ばしいにおいが漂っていた。
「朝食作ったけどよかったら食べて」
皿の上にはフレンチトーストがキレイに盛り付けられている。
フレンチトーストそれは僕がこの世で一番好きなスイーツ。
なぜ好物まで知っている!? カメラでも付けて見ていたのか?
そしてフレンチトーストを一口大に切って口へと運んだ。
う、うまい……
ふわふわで柔らかく、厚みはカナリ薄いのに、固め。モッチリ。噛みごたえもある。
今まで食べてきたフレンチトーストの中でダントツで美味しかった。
「ねぇ、感想は?」
「とっても美味しい!」
「そ、そう。ありがと…」
結夏は少し照れながら笑った。
それを見て僕は少しだけ可愛いと思ってしまった。
学校で朝のホームルームを終え授業が始まるまでの時間読書をしていると幼馴染の
「ねぇねぇーえー君、なんか最近顔がスッキリしてるよね?」
「そーかな?」
そう、結夏と同居が始まってから僕の生活習慣が一変した。
毎日自炊になったし就寝時間も結夏に合わせて12時前には寝るようになったので肌もスベスベになり身体もとても軽くなったように感じる。
「ねぇ…えー君彼女できたでしょ〜」
「で、できてないよ」
「うそだ〜」
嘘ではない。
結夏は居候として家にいるだけで『彼女』ではないし今までも彼女がいたことはない。
そしてさっきからすごく重たい視線を感じる。
多分結夏だ。
『絶対に言うんじゃないぞ』の目でこっちを見ている。
「じゃぁひまりが彼女になってあげようか?」
「いやいい、それに陽葵は可愛んだから僕よりもっといい人がいるだろ」
「そんな〜可愛いなんてぇ〜」
ひまりはヨロヨロしながら自分の席に帰っていった。
僕は結夏の方を向き様子を伺うとなぜか先程以上に怒っている。
やばい、僕はなにを言ってしまったんだ。
今日は結夏が怖いので少し遅く家に帰ることにした。
「
「おう」
放課後になり結夏にでくわさないように学校の下駄箱まで辿り着いた。
するとスマホの着信音が鳴る。
開くと、結夏からのメールだった。
内容は「私何も怒ってないから、寄り道せず帰ってきなさい」とのこと。
母親か、とツッコミたくなる。
まぁ、怒ってないならと思い僕は素直に従うことにした。
寄り道せず家に帰ってソファーに座り読書をしていた僕は結夏の帰りを待つ。
すると玄関のドアが開く音がした。
少しずつ足音が近づいてくる。
そして足音が消えた途端、後ろから抱きつかれる。
「なッ!、なにしてんの?!」
「充電だよ充電」
彼女の華奢な身体が心拍数が聞こえてもおかしくない距離にある。
「そっか…なぁ今日の朝なんで怒ってたんだ?」
「怒ってない」
「でも顔怖かったぞ。すごく」
「あれは栄汰が陽葵ちゃんに可愛いとかいうから…私には一度も言ってくれたことないのに」
そんなことだったのか、自分がなにか同居についてのことで口を滑らしたのかと思ったじゃないか。
はぁ…
「僕は結夏のことすごく可愛いと思うぞ」
「ほんと?」
「あぁ」
「ありがと栄汰…」
また結夏のことを可愛いと思ってしまった。
元僕のストーカーなのに。
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