第2話 出会いは奇跡
双極性障害の診断が下り、診察とカウンセリングに通い出した。カウンセリングを始めると、先生はまず私をじっと見つめる。そしてすぐに微笑ましい表情で迎えてくれる。この人は、私をしっかり観察しているのが分かった。
先生と初めて出会ったのは、1年と3ヶ月前。私がうつ状態で死にかけていた頃だ。私がそういう状態なのに、母もうつで、包丁を取り出し、自殺未遂をした。未遂に終わったが、目の前に流れてくる血。私の心にはかなりのトラウマができてしまった。
そんな頃、ただ私の心のそばにいて支えてくれた人、それが私の担当カウンセラーだった。
初めての診察で言われた言葉を今も覚えている。”これから一緒にパートナーとして考えていきます。よろしくお願いしますね!”
心がボロボロの私にとって、初めて自分に起きたことを全て話せる人。きついことを全て聞いてくれる人だった。
こうやって私は自分のことを45分間話す。滅多に口を開かない私だけれど、この場所では話せる。なぜなら、否定されたり馬鹿にされたり、差別されたり、そんなことがないからだ。友人がいなくても、恋人がいなくとも、何も馬鹿にされることはない。誰もいなくとも、味方でいてくれる。安心して自分をさらけ出せる。だからこの場だけは、自分でいられる。
社会で辛いことがあっても、差別されても、先生は私の味方でいてくれる。そして、一緒に解決しようと考えてくれる。だからここが私の居場所だ。
パートナーは私のことを全て知っている。居場所でいてくれる。一人じゃない。だから生きていこうと少しづつ思えるようになった。
患者とカウンセラーの禁断の恋 想夢みさ @misamisa_33
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