人に生まれたことを悔いている人へ
如月蓮太郎
第1話
唐突だが、人々はもっと人に生まれたことを感謝すべきだ。
そもそも、人と人以外の動物の違いは何だろうか。それは選択を出来るか出来ないか。もっと細かく言うなら、考えることが出来るかどうかだと考えている。
こういう言い方をすると誤解される気がするが決して人以外の動物たちが何も考えていないと言いたい訳ではない。寧ろ、あの小さな脳で毎日を必死に生きようと試行錯誤を繰り返す姿は素晴らしいと思う。ただ、奴らは本能のままに生きているだけなのだ。
例えば、人というのは思春期を迎えてからしばらく経つと、自分の生きる意味や存在意義や存在価値について考えるようになる。奴らはこういったことを考えるだろうか。いや、考えない。理由は単純、考えるだけの脳がないからだ。よって、奴らが「俺は大切な人を守る為に生きる!」とか、そんな少年漫画の主人公のようなことを考えることがなければ、自分達は何者なのか、生と死とは、などといった哲学的なことを考えることもない。奴らが考えることは一つだけ。明日をどうやって生きるかだけだ。
ではここで、先程言った『本能』について考えてみよう。この文の中で私が指す本能とは一つ。それは全ての生物が産まれた時から等しく持つもの。生存本能だ。この世の全ての生物はこの本能に抗うことは出来ない......という訳ではない。唯一、この本能に抗うことの出来る生物がいる。それは人だ。
しかし、この生存本能というのは言ってしまえばある種の呪いのようなものだ。何故なら、人以外の抗えない生物たちはこの本能によって、どれだけ生きることが辛くても生かされてしまうのだから。いくら哲学的なこと考える脳を持たないとはいえ、流石に辛いということを感じるくらいはあるだろう。そこで一つの疑問が浮かぶ。何故、人は抗うことが出来るのか。これまた理由は単純で考えることが出来るからだ。
最初に私がこう言ったのを覚えているだろうか。「人と人以外の動物の違いは何だろうか。それは選択を出来るか出来ないか」と。『選択』、それはつまり生と死の選択だ。そう、人は全生物の中で唯一、自殺することが出来る素晴らしい生き物なのだ。そして、自ら死を選ぶということは生存本能に抗うということなのだ。
だがやはりと言うべきか、自殺を良くないものと考える人は多いようで、よく誤解されがちだが、先にも言っているように自殺とは非常に素晴らしいものなのだ。何故なら、それこそがこの世からの唯一にして最大の逃亡方法だからだ。いじめられていることを誰にも相談できずにいる。もしくは、相談しても対応してもらえない学生。縦社会に疲れた会社員。借金まみれのフリーター。努力することを諦めた凡人。期待というプレッシャーに押し潰されそうな天才。理由はそれぞれだが、自殺とは各々がそういった地獄から逃げるためにするものなのだ。
要するに私が言いたいのは他の動物はどんなに嫌なことがあっても考える頭がないから自殺することが出来ないけれど、私たち人は考えることができるおかげで自ら死という逃走を選択することが出来るということに感謝しよう。ということだ。
これは余談だが、先程「自殺を良くないものと考える人は多い」と言ったが、こういった風に考えてしまうのもまた生存本能による呪縛なのかもしれない。
ああ、そういえばもし、万が一にもそんな馬鹿なことはないと思うが、これを読んで自殺した人がいて、それを私のせいにされても困るので一応言っておくが、私は別に自殺を推奨している訳ではない。ただ、「人は人に生まれたことを感謝すべきである」ということを伝えるために必要な過程だったのだ。だけどまあ、一応アドバイスはしておこう。
人というのは今までつまらないと感じていた人生も価値観が変わるだけで全くの別物に感じることができる。では、どうやって価値観を変えるのか。簡単だ。いろんなものに挑戦してみればいい。小説や芸術、スポーツでもいい。何でも手を出してみるが吉だ。そうすれば人生の見方が変わることだろう。しかし、あまり深入りしすぎるのも良くない。どれだけやっても楽しいと思えないものは直ぐにで手を引け。そして、また別のやったことのないものに手を出せ。楽しいと思える=才能だ。だが、この小説のタイトルに釣られるような人はきっと、自分に自信がないせいで「どうせ無理」とか「やっても無駄」と言ってやる前から投げ出してしまうんだろう。はっきり言ってやる。そんなことだから何も変えられないし、変わらないんだ。何の犠牲もなしに変化を得られると思うなよ。お前のような奴の場合は時間だ。時間を犠牲にしていろんなものに手を出せ。金がかかるなら惜しまず出せ。それも必要な犠牲だ。そうやって自分に向いてるものを全力で探し出せ。そして、私のアドバイスを読んで「こんなのはただの綺麗事だ」と思ったら、その時点でお前は負け組だ。以上が私からのアドバイスだ。
人に生まれたことを悔いている人へ 如月蓮太郎 @kisaragirentarou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
うにゅほとの生活/八白 嘘
★10 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,084話
MY LIFE/船里葵
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 4話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます