香炉峰の雪やいかに

 ドラマって見始めたら最後まで見たくて忙しくなるので、あまり見ないようにしています。今季見てるのは朝ドラと大河ぐらいですか。


 今季の朝ドラはいいですね。脚本も演者もいいし、オープニングの曲も映像もどれも言うことなし。

 ただ、一つだけ言うとしたら「はて?」のゴリ押しはやめてほしい。毎日絶対入れるけど、絶対流行らないから。ついでに「すん」も共感できないので無理に入れない方がいいと思う。

 あれさえなければもっと感情移入して見られるのに、無理やり「はて」を入れてさらにあのBGMが流れたら冷めるんですよ。絶対にない方がいいです。見てない方には分からない話でごめんなさい。


 大河は色々と思うところがありますが、意外なぐらい評価がいいですね。私としては無理やり紫式部を出さず、架空の第三者を主人公にしてくれたら、もっと純粋に楽しめたのになあという感じです。


 その中でついに今回は、


「清少納言の誕生」


 がありました。


 今までは「ききょう」というドラマオリジナルの名前だったんですが、中宮定子に名付けてもらって、


「それでいきます、好きです! だって推しがくれた名前だもん!」


 と、清少納言が大喜びのシーンはよかったです。


 そして来週はいよいよ「枕草子」好きな人なら誰もが待っていたあのシーンがありますよ。


「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ」


 国語の教科書にも載るぐらい有名なシーンですが、知らない方のためにちょこっとだけ説明を。


 清少納言が仕えている中宮定子ちゅぐうていしがいきなりこう言って、みんなが「なんのこっちゃ?」とうろうろしている時に清少納言がささっとすだれを上げさせて外が見えるようにしたというエピソードです。


 この日は雪で、中宮はその雪を見て中国の白楽天の歌、


「香炉峰の雪は簾をかかげる」


 とひっかけてこう言ったら清少納言だけがそのことに気がついた、すごいね、という話です。


「この歌はみんなが知ってる歌やけどとっさにそんなこと思いつかんわ~清少納言はんすごいわ~」


 と、他の女房達にもほめられたの、ととっても得意そうに書いてあります。


 そういうのを見て後年紫式部が、


「大したことない知性ひけらかして」


 と、悪口を書いたりしてますが、確かに知っていてもすぐにピンとくるかどうかは別な気がします。やっぱり清少納言ってそういうセンスのある人だったんですよね。


 この間もちょろっと「古典を勉強する意味があるのかって言われてる」と書きましたが、教養とか冗談にもやっぱりそういう知識って必要になると思います。

 少し違いますが「ガラスの仮面」の中で月影先生がパントマイムをするにも知識が必要みたいに言ってました。バイオリンを知らない人にバイオリンを弾く真似をしてもわからないでしょ、と。


 日本人で大部分の人が知っているだろう「香炉峰の雪」のシーン、いよいよ次回です。せっかくなのでみんなで簾を掲げてみませんか? 


「今、日本中でどのぐらいの人がこのシーンで喜んでるか、簾を掲げてみているか」


 と思ったらとってもうれしくなるかも。日本人でよかったなと思えるかも知れません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る