森の宝石「立木染」

 今朝、テレビでとってもすごい物を見ました。これは今まで見たことなくて、本当に初めてそんな物があるって知りました。


 最初に画面に映ったのは、つやつやと輝く丸いアクセサリーでした。グラデーションがとてもきれいで、宝石のように見えます。


「これは一体何でしょう」


 そう言われてじっと見てて、ふと、


「あのグラデーションの模様、もしかして年輪? だったら木で出来てる?」


 そう思ったんですが、本当にそうでした。


 作られている地域は和歌山県田辺市です。この地域は林業が盛んで、そこからこの立木染が生まれました。


 作り方がとてもユニークです。まず木の根っ子から染料を吸わせます。つまり、生きてる木の段階から作業は始まっているわけですね。

 

 林業では商品にできる木と、できない木、つまり「間伐材」ができてきます。間伐材を使った製品というと割り箸なんかが有名ですが、大部分が切り捨てられる運命なのだとか。それをなんとか活用できないか、そこからこの技法が生まれたそうです。


 間伐材とは決して劣った木というわけではありません。ちゃんとした木だけど曲がってるとか、もっと成長のいい木を残すために間引いて切り倒す、そういう木なんです。

 防災のためにも伐採は必要です。しっかりした根を張る木を育てるためにも、間引きはしなければならない。仕方ないけどかわいそうですよね。


 そんな木に染料を吸わせて製品に仕上げる。すごくいいことだと思います。


 間伐の対象になる曲がった木なんか、年輪が曲がっててより一層素敵な模様ができたりもします。木が自分で吸い上げた染料で自分を染めているんですから、人間の力でどうこうできるものじゃない、切ってみるまでどんな模様ができているか分からない、それも面白いところですよね。


 その模様を切り出して形を整え、十層にニスを塗り重ねたら、ピカピカした宝石が生まれるんです。その模様はまるで宇宙のようでした。


 見た目は宝石だけど木で出来ているから軽い。これ、日本の新しい名産品にならないかな。きっと海外の人にも喜ばれると思う。


 日本は木の文化の国です、その特性を活かした「立木染」はもっともっと可能性を秘めている、そう思いました。


 気になった方は「立木染」で検索をかけてみてください。その制作過程や完成品の姿を見ることができます。本当にきれいですよ。


 私が見たのはピカピカ宇宙のような製品でしたが、木の素朴さを活かした物もあるようです。

 どっちもそれぞれの良さがあっていいなあ。

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