アルムナイ

 年末になると今年の流行語というのが発表されます。その中には知ってる言葉もあればない言葉もあり、聞いたことはあっても使ってる人は見たことないな、という言葉もあったりします。


 そんな感じで、日々新しい言葉が出てきて流行し、気がついたら消えてしまったり、そのまま定着したりを繰り返しています。そんな中には出てきた時には「何それ」と思っていても、気がつけば普通に通じるようになってる言葉も多いですね。そういうの、特に横文字に多い気がする。


 そういえばと思い出しますが、今では誰でも知っている「リニューアル」という単語ですが、これは私の最推しのバンドのリーダーがいち早く使い出した言葉なんです。そのバンドのボーカルが出ていたドラマのセリフに、無理矢理にこの単語を入れてもらったとラジオで言っていた時には、そんな言葉通じるようになるのかなと思っていたんですが、今では知らない人はない言葉ですよね。


 他にも「イナバウアー」なんてのも、聞いただけでみんな背中を反らして手を伸ばしてあのポーズを取ったりします。実はこの技、足の形のことで、あのポーズは全然イナバウアーではないんですが、そういう形で広まることもありますね。きれいでしたもんねえ、荒川さん、そりゃみんな覚えるわ。


「もしかしたらこの言葉もそのうち普通に誰もが使うようになるんだろうか」


 つい最近、そう思った言葉があります。


「アルムナイ」


 初めて目にした時、


「アルムってハイジに出てくるあのアルム?」


 って思って、どういう意味かを続けて意味を読んだら全然違う言葉でした。


 ラテン語で「卒業した人」みたいな意味で、企業を一度卒業した人、つまり高齢になってきて退職した人をそう呼んで、人手不足の企業にその「アルムナイ」にもう一度働いてもらいましょう、ということらしい。


 言い方は横文字でハイカラに聞こえますが、言ってみれば引退した人をもう一度働かせよう、そういう目的のために引っ張り出した言葉なだと思います。


「あなたはアルムナイとしてぜひ我が社に来ていただきたい」


 そう言われたら、なんとなくかっこよくスカウトされたようでいい感じですが、内容としては、


「若い人で働く人がいないから引退して時間がありそうなあなたに来てもらいたい」


 さて、定着しますかねえ、この言葉。


 ちなみに私は、


「アルムの山におんじはいナイ」


 と、ハイジのおじいさんから高齢者を想像し、「おんじ」が働いているところをイメージしたら覚えられました。

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