色んなことが、ふと、気になって、気づけばエッセイ千本目の前

２０２３年 ９月

秋の初日にぶい

　今日から９月です、カレンダーをまた１枚めくりました。残りは２枚、今年も終わりに近付いたんだなあと実感します。まだ早いですが。

　私が子供の頃には、９月１日というと始業式でした。７月２０日が終業式で９月１日が始業式、これは高校卒業までずっと変わらなかったと思います。ですが、今はなんだかもっと早くに夏休みが終わってるんですね、少し前にご近所の中学生と話をしていて、もうすぐ夏休み終わりかと聞いたら、もう終わったと言われてびっくりしました。一体いつからなんでしょう、そんなに早く夏休みが終わるようになったのは？

　暦の上で終わっても、夏休みが終わっても、まだまだ暑いのは変わりません。今日も暑い。ただ、実家に来たら、今まで３３度だった台所の温度計が３０度ぐらいになっていて、ああ涼しくなったなあ、と思いました。

　そんな秋の始まりに家を出た一番最初に私がやったこと、それは、

「ひっくり返ったぶいぶいを起こすこと」

　でした。

　なんだか今年は多い気がします。セミファイナルより多い、というか夏より前にひっくり返してた気がするのに、よりによって秋１番の仕事があんたを起こすことかい、と思ってしまいました。

　今日はゴミの日なので、ゴミを持って玄関を出たら、すぐ目の前の溝で上むいて、ぶいぶいと焦っていました。

「またか……」

　今年何度目でしょう、どんくさいこいつらに会うのは。去年はえらく少なくてちょっとさびしいなと思ったけど、今の時期にまでこんなことやられたら、改めてどんくさいやつだと思わずにはいられません。

　ゴミの袋を置き、靴先につかまらせてやったら、今回のも靴につかまって、

「ああ助かった」

　とばかりにのんびりされました。

　前回はその上に靴に登ってこようとしたので、

「こらこら、あかんで」

　と、急いで靴を脱ぎ、とん、と落としてやったら、今度はまた廊下で上むいてぶいぶいが始まった。

　本当にどんくさいと思いながら、今度はつま先につかまらせるのではなく、軽く蹴って起こしてやろうとするのですが、そうしたらいじめられたと思うのか、死んだ振りをされました。

「いじめてるわけではないからね」

　そう言って、さらに軽く蹴る作業を何回かしたら、やっと普通の体勢になってくれて、ちょっと呆然とした後で、もう一度蹴られてはたまらない、とばかりに飛んでいきました。やれやれ。

　なんだろう、秋に家を出た第一歩がこの作業で、なんとなくよかったような気がしています。