にんじんとメロン
今夜、メロンを食べていて、ふと、思い出しました。
子供の頃、ルナールの小説「にんじん」を途中まで読んでやめてしまいました。
なぜかと言いますと、主人公の「にんじん」がものすごくかわいそうだったからです。
主人公は確か「にんじんのような髪」をしているという理由で、家族からも馬鹿にするように「にんじん」と呼ばれている男の子です。本名は他にあるのに、家族が「にんじん」としか呼ばず、差別して不当な扱いを受けています。
ある日、家族でメロンを食べるんですが、
「おまえはメロンが嫌いだろうから食べなくていい」
みたいな理由、だったと思うのですが、とにかく1人だけメロンを食べさせてもらえず、家族が食べ終わったメロンの皮を、
「うさぎ小屋のうさぎにやってくるように」
そう言われてうさぎ小屋に持って行きます。
そこでにんじんはメロンの皮をすぐにうさぎにはやらず、
「ちょっと待ってろ」
と言って、まだ皮に付いている実を食べ、実がなくなったのからうさぎにやるのです。
そのシーンの挿絵があり、うさぎ小屋に何匹かのうさぎがいて、男の子がメロンの皮を持ってせっせと食べているシーンでした。
それがね、なんか子供心になんかすごく嫌で、悲しくて、そこで読むのをやめてしまいました。
メロンやスイカを食べていると時々思い出していたんですが、それを誰かに話したことはありませんでした。でも今夜はふと、話したくなったのでその話をしました。
「児童文学だったらきっとハッピーエンドになったんじゃないの?」
話した相手がそう言ってくれて、私も、
「小公子や小公女もそうだし、にんじんもきっとそうかな」
と、あらためて読んでみようかなと思いました。
それでネットで検索かけてみたんですが、うーん……これ、ハッピーエンドになるのか?
どうやら小説と戯曲の両方があるらしく、なんとなくホッとするようなハッピーエンドにはならないような……
私が読んだのは、おそらく子供用に訳されたものだと思うので、そういうのはハッピーエンドになってるっぽい気もするのですが、大人になった今読んだら、なんとなく逆に考え込んでしまいそうな、そんな嫌な予感もしてます。
にんじん、幸せになってるといいんだが……
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