となりにあるものについて
バブみ道日丿宮組
お題:名前も知らない自動車 制限時間:15分
となりにあるものについて
隣の人間のことを知ってるかと聞かれれば、大半の人間は知らないと答える。
それは生きるという概念には不必要だからだ。
人間以外に名前がある動物はいるのだろうか。これは獣の声が聞ければすぐにでもわかることだが生憎というか私たちは人間であって獣ではない。
もっとも……口に出すとしたら、獣以上の悪を行う邪悪な種族といえるだろう。
そういった中で機械との交流が昨今流行りである。
俗に言うAIだ。
教えられたことを無限に貯蓄してく。教えたことは忘れない。
賢すぎるがゆえに一時期国がAIに乗っ取られることもあった。現在はAIはAI人間として動物の枠組みに入ってる。
そう……今じゃ機械が友だちと呼べる時代なのだ。
「あれはなんていう車なの?」
「うーん、わからないなぁ」
子どもの疑問に答えることも今はできない。
車種は人間でいう○○人ということであって、そのもののことをいう言葉ではない。その中に入ってるAIを私は知らない。
知ることもできるが今すぐにはとてもじゃないが無理だ。
「ふーん」
「ほら、行こっか」
数秒前の不満がなんのその子どもは新しい発見に向かってく。
この世には知らなくていいことがたくさんある。
隣の人間のことを知る必要はない。あれが誰で、これがあれでとすべてを知る必要はない。
かつて国を支配したAIは語ってた
『すべてを知ったとしても幸せでない』と。
私が私であっても、私のことをよくは知らない。
何の病気を持ってて、誰の祖先とかわからないことのが多い。
医者であれば、私の身体の情報を持ってるかもしれないが私自身にはそういったものはない。
だから、あの車はなんなのかと聞かれたら、わからないと答える。
それが子どもにいい経験を与えるかはわからないが私の選択肢にはそれしかないのだ。
ご機嫌な子どもの歌が終わる頃には目的地である駅前に到着した。
となりにあるものについて バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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