第8話 十種香会議
十種香が集まり会議をする部屋は毎回決まっている。五十回建てのビルの最上階。窓際は一面ガラスになっており、華胥の景色が一望できる。まだ五時にもなっていないが、冬場は日が沈むのが早く既に東の空はうっすらと闇が侵食してきていた。
会議の時間まであと十分。続々と十種香のメンバーが会議室へと入っていく。里美と共に満天もそれに続く。仲良く談笑している二人の肩を、後ろから何者かが叩いてきた。
「Hei! マンテン、サトミ!」
テンションの高い声が二人の名前を呼ぶ。振り返るとくすんだ金髪を揺らしながら青眼の少女が立っていた。年齢は十代中ごろといったぐらいだろうか。
「マセンシアさん」
彼女は
「二人仲いいデスネー。ワタシも仲間に入れてくださーい!」
後ろから二人に抱き着きながら、垂れ気味の目をいっそう下げながら笑った。
「っわ。ちょっとー、どこ触ってんのー。こそばゆいって!」
抱き着いた拍子に、マセンシアの手が脇腹を触ったようだ。どうやら里美は脇腹が弱いらしい。
「サトミは脇腹が弱いのデスネー。ラジャーデース!」
マセンシアはそう言うと、里美の脇腹をがっしり捕まえると、これでもかというくらいに擽った。
「え、あ、ちょ、ちょっと! だ、だめだって! うひゃーー!!」
容赦のない擽りに里美は体を捩じらせ魔の手から逃げようともがくが、マセンシアは簡単に獲物を逃がすような真似はしない。最終的にマセンシアが満足するまで擽られた里美は、体に力が入らず、床へと沈没した。
「お次はマンテンデース! ドコが弱い? 脇腹? 脇? 太股―?」
床へと突っ伏した里美を放置して、マセンシアは次のターゲットに満天をロックオンしたようで、手をわきわきとさせながらじわりじわりと距離を詰めていく。
「キャー!」
先ほどまで笑ってみていた満天だったが、次の標的が自分になってしまうとさすがに笑ってはいられない。悲鳴を上げとっさに逃げようと後ずさったもの、背後には壁。行く手を阻まれた満天は、両手を前に出し拒むがそんなもので止まるマセンシアではない。
満天、絶体絶命のピンチ。というところで、突如二人に横から声が掛かった。
「こらー、騒がしいわよぉ」
二人同時に声がした方へと顔を向けると、会議室の出入り口のドアの前に一人の女性が佇んでいた。
「三人とも元気ねぇ。元気なことはいいことだけど、廊下で暴れたらだめよぉ?」
のんびりとした口調で話す彼女は十種香、『
ふんわりとした日向のような微笑みのままッメ、と満天たちを叱る。その拍子に栗色の柔らかそうなロングヘアがふわりと揺れた。
「奈津さん、ごめんなさい……。ほら、マセンシアさんも謝ってください! 元凶はマセンシアさんなんですから!」
「……ナツ、ソーリーね」
満天に促され、マセンシアも素直に謝った。流石に悪いと思ったのか肩を落としシュンとしている。
「二人とも、素直でいい子ねぇ。今度からは気を付けてね」
未だに床に転がったままの里美を起こしながら、奈津はいった。その言い方はまるでお母さんのようだ。
「ところで、奈津さんはこんなとこに突っ立ってどうしたんですか?」
のろのろとようやく立ち上がりながら、里美が疑問に思ったことを口にした。副リーダーである、奈津が会議室の前で意味なくぼんやり突っ立っているなんてことはないだろう。何かしら用事でもあったのだろうか。
「あらやだ、忘れるところだったわぁ。会議室に入る前に皆にこれを渡さなきゃいけないのよぉ」
そう言うと奈津は、手にしていた布製のトートバックから真っ黒な金属製の輪っかを取り出すと、一人に一つずつ手渡していく。手のひらほどあるそれは、サイズ的にブレスレットだろうか。
「これは?」
見たことのない代物に、輪っかと奈津を交互に見ながら満天が問いかけた。
「それは
何の変哲もない真っ黒なブレスレットだが、大層なもののようだ。満天は奈津に言われた通り腕にはめてみた。どうやらフリーサイズのようで満天には少々大きい。ぶかぶかで手を振っただけでも抜けてしまいそうだ。
「毎回の事ながらメンドウデスネー。こんなものわざわざつけなくても誰も会議室で暴れたりしないデース!」
ブレスレッドを同じように腕にははめながらマセンシアが面倒くさいそうに呟く。満天ほどではないが彼女の腕も細く、簡単に抜けてしまいそうだ。
「ふふふ、そう思うでしょう? でも残念ながら数年前に会議中に異能力発動させて会議室半壊させた十種香がいたのよぉ。それからこれの着用が義務付けられたのぉ」
今から五年以上前のことだ。長く十種香に在籍しているものにすれば忘れようのない出来事だったが、この三人は事件当時はまだ在籍していなかった。
「里美さん、知ってます?」
三人の中で一番長く十種香に在籍している里美に満天が訊ねるが、彼女は首を横に振る。
「噂には聞いたことあるんだけど、私とは入れ違いだったらしくて会ったことはないんだよね……」
「そうなんですか」
会議室を半壊させた人物がどのような人物なのか気になった満天は、奈津に詳しい話を聞こうと口を開いた。が、横を後から来たコツメが、奈津の横をすり抜け会議室へ入っていくのが目に入った。満天は慌ててその背に呼びかける。
「コツメさん! 異能力抑制装置つけなきゃ!」
忘れているのかと思いとっさに手を掴み引き止めるが、コツメは慌てる様子もない。それどころかあえて素通りしたのかのように、確信犯の如くニヤリと笑う。
「わしは特別免除やねーん。優秀やさかい!」
「え?」
「またまたー。コツメはすぐジョークいうネー」
いつもノリの軽いコツメの言うことだ、当然冗談だとマセンシアたちは受け取った。
「本当のことよぉ。コツメちゃんだけは例外でつけなくてもいいの」
しかし奈津が大真面目にそういえば、流石に冗談ではなのだと気が付く。
その間にも異能力抑制装置を付けることなく、コツメはそのまま会議室へと入っていった。
いったいどういうことかと奈津に視線をやるが、彼女はただニコニコと微笑むばかりで何も答えない。一見優しそうな彼女だが流石十種香副リーダーといったところか。
プライバシーに関することかもしれないなのでこれ以上つっこんで聞くわけにもいかないと、満天は追及することは諦めた。
「いつまで入り口でたむろしているのですか。さっさと中に入ってください。後ろがつかえています」
不意に背後から厳しい声が聞こえてきた。声の主は十種香『
「ご、ごめんね! 満天ちゃん、マセンシアちゃん早くは入ろ!」
里美が弾かれたように二人の背を押し会議室へと入っていく。急かされながらも会議室に入る際に満天はちらりとマリアを振り返った。
ブレスレッドを受け取ったマリアはすぐに右手にはめると長い銀色の髪の毛を掻き揚げながら、自身の名前が書かれたプレートが置かれた席に座る。
満天たちもそれに続くように、席に座る。会議室の中には既に何人ものメンバー座っていた。それでもまだ、空席がいくつか残っている。今入って来たメンバーを抜かすと二席。どうやら二人まだ来ていないようだ。
マリアも、今席についているメンバーもコツメ以外皆異能力抑制装置を付けている。本当に奈津の言う通り、コツメだけが例外なのだろう。謎は深まるばかりだ。
壁にかかっている時計を見やれば、もうすぐ会議開始時間の午後五時が迫ってきている。先ほどまで入り口にいた奈津も既に中に入ってきている。
誰がまだ来ていないのか室内を見渡しているとバタバタと慌ただしい足音が近づいてきた。
開かれた扉から現れたのは二十代中ごろの女性。さぞかし慌ててきたのか、紺色のショートヘアが乱れている。
現れたのは十種香『
「いやー、すまない。会議室に来る途中に熊と鉢合わせして戦っていたんだ。なーんてね」
クールな見た目とは裏腹に、瀬名は真顔で淡々と冗談を言った。大半の物は白けた目で彼女を見たり、いつものことだと流すのだが、中にこらえきれずに吹き出してしまうものもいた。満天のことだ。
他のメンバーと違って、まだ瀬名の冗談に耐性がない。というのもあるのだが、存外満天は笑いの沸点が低いのかもしれない。
「大丈夫ですよ、今から始めるところです」
プロジェクターの準備をしていた奈津が、笑うこともつこっむこともせずに、愛想笑いを浮かべながら瀬名に異能力防止装置を手渡した。
瀬名はなにも反応のない奈津に対して、文句を言うことはないが、若干不服そうな顔をして、簡潔に礼だけ述べると席についた。
その直後、高らかなよく通る声が会議室に響き渡った。
「全員揃ったので、会議を始める」
一番早くから部屋にいた黒髪の女性が立ち上がる。彼女は十種香のリーダー『
「リーダー! 一人足りないデース!」
マセンシアが室内を見回しながら手を上げながら言う。彼女の言う通り、一番奥の席が空席となっていた。
「綾ちゃんは地方での仕事で今回は会議には出られないから、今日は九人だけなのよ」
奈津が、空席の理由を説明する。今回唯一の欠席者は十種香『
十種香の仕事は主に、全国にある華胥及び、華胥に住む女性を守ることである。
とはいうが、樹海化してからというもの、東京の治安は悪化一途を辿っており特に危険視されている場所だ。そのために十種香の拠点は東京に比較的近く利便性のいい華胥:鎌倉を拠点にしている。
勿論各地で暴動などが起これば即座に鎮圧の為に駆り出される。今回千坂綾が地方へ赴いたのもそれが原因だ。
「本日急遽皆に集まってもらったのは他でもない」
沙也可が仕切りなおすように改まる。
「まずは皆に見てほしいものがある。『青木』」
「はい」
奈津は沙也可に呼ばれると素早く立ち上がり、慣れた手つきでプロジェクターを起動する。すぐさま正面のスクリーンに画像が映し出された。
真っ先に移り込んだのは、青々と茂る植物。次には横から駆け込んできた学生服の男性と、それを追いかけてきたロリータ服の女性――渡会朝光と白石蔵屋だ。昨夜の映像だ。
カメラが動かないのを見るに、防犯カメラの映像だろうか。二人はなにやら喋っている様子だが、無声映像のようで声は聞こえない。
「なんやこりゃ、植物だらけなのを見るかぎり東京かいな? ってこの二人誰やねん?」
スクリーンに映る映像を見ながらコツメが、率直に疑問に思ったことを口にした。それはこの場にいる皆が思ったことで、口を挟んできたコツメを叱るものは誰もいない。
「この映像は現在不法侵入罪で捕まっている白石蔵屋が、先日再三注意にも関わらず立ち入り禁止地区『東京』へ不法侵入した際の防犯カメラの映像です。女性が白石蔵屋。男性は身元不明です」
奈津が素早く、映像の説明をした。聞くと同時に、竜子がバカにするように鼻で笑う。
「立ち入り禁止地区への不法侵入なんざ、あたしらが動くことじゃねーだろ。放っておけよ」
頬杖をつきながら面倒くさそうに履き捨てた。
「石母田さん、今は会議中です。そのだらしない態度を改めたらどうですか」
横柄な態度を見かねたマリアが竜子を諫める。しかし竜子はそんなことで、はいそうですかと大人しくなる人間ではない。逆に煩わしそうに苛立ちながらマリアを睨みつけた。
「ッチ、ネチネチうっせーな。黙ってろヒスヤロー」
「ちょいちょい、ほんま失礼なやっちゃなー。せやからマリアはんにも嫌われんねん」
「テメーは関係ねーだろ、黙ってろ似非関西人!」
ここぞとばかりに口を挟むコツメに、竜子は鬱陶しそうに顔を歪めながら、怒りに任せて立ち上がった。勢いによって椅子が倒れた音が静かな会議室にやけに大きく響く。
「石母田さん、席に戻ってください!」
事態に見かねた進行役である奈津が、いざこざを諫めるために声を上げるが竜子の耳には届いていない。目の前のテーブルに足をかけ、テーブルを挟んだ向こう側に座るコツメに殴りかかろうとしたところ、良く通る声がその場に響き渡った。
「『鶏舌』、『蘇合』静かにしていなさい。重要なのはここからだ」
視線をスクリーンに向けたままの沙也可が、有無を言わさぬ口調でそう言った。威圧を含んだ物言いに、部屋の空気が下がるのを感じた。
「……ッチ」
喧嘩っ早い竜子もリーダーである沙也可には歯向かえないようで、舌打ちひとつすると倒した椅子を自ら起こし、乱暴に椅子に座りなおした。しかし彼女自身の苛立ちはまだ収まっていないようで、険しい目つきでコツメを睨むのは忘れない。
コツメはその視線を気が付いていながらも、わざと気が付いていないように無視をする。これ以上は喧嘩を買うのも売るのも得策じゃないと思ったのだろう。
ようやく静かになったところで、皆一様にスクリーンへと視線を戻す。スクリーンの映像は先ほどの二人に加え、いつの間にかもう一人増えていた。新たに増えたのは赤茶色の髪色の子ども。
ロリータ服の女は子どもの手を強引に引いて、その場から立ち去ろうとしていた。その背中に向かって、学生服の男が何かを叫ぶ。そのあとすぐにそれは起こった。
突如ロリータ服の女と、子どもは何かに押されたように吹き飛んだ。周囲の木々の騒めく様を見るかぎり突風でもふいたのだろう。しかし、ピンポイントに二人を狙って吹いたように見えた風など異様でしかない。
「これは……!」
「……異能力? でもまさか」
「この人、男じゃないんですか?」
問題のシーンを見た瞬間、十種香のメンバーが口々に驚きと困惑の声を上げる。会議室は一時騒然となった。
ざわめきは奈津の「ご静粛に」という言葉と共に次第におさまっていく。
「わざわざ言わずとも既に察しているだろうが、皆に見てもらいたかったのは先ほど白石蔵屋と、白石蔵屋ともにいた子どもが飛ばされたシーンだ。偶然の突風に飛ばされたにしては狙ったようにピンポイントすぎる。私は異能力ではないかと推量しているのだが、皆はどう思う?」
沙也可が意見を求めると、ぽつりぽつりと口を開いた。
「偶然風が吹いただけにも見えるけど……」
「あの人は本当に男なのでしょうか?」
「映像だけでは何とも言えへんなー」
意見を求められた十種香のメンバーたちは、口々に見解を口にする。しかし少ない情報量の中では、そのどれもが憶測にすぎない。
「皆が言う通りだ」
話が膠着状態を迎えた中、凛とした声が室内に響き渡ると、皆の声がピタリと止んだ。
「今の段階では何とも言えない。映像に映る制服を着た人物は、見るかぎり男性にしか見えない。しかしだからと言って、偶然で片付けてはいけない案件だと私は思う。」
沙也可はここで言葉を切ると、斜め前に座るコツメを見やる。
「『鶏舌』」
「なんです?」
呼ばれたコツメは、速やかに姿勢を正し沙也可へと向きなおった。
「先ほども『青木』が補足したが、この男性の詳細は一切不明だ。骨が折れるだろうが、調査の方頼まれてくれるか?」
「ガッテン承知の助―!」
短い手でビシリと敬礼の形をとり了承の意を伝える。その言葉はおどけているようにも見えたが、本人はいたって真面目だ。
沙也可から少し離れた場所から、「なあ」と声がした。声の主は竜子だ。
「リーダーさんよ、こいつが何者かわかるまで指くわえて待ってろなんてこと言わねーだろうな?」
ギラリと猛禽類のような瞳を向けながら問う。その表情は先ほどまでの不機嫌さは鳴りを潜めており、口元には不敵な笑みを浮かべ、意気(いき)軒高(けんこう)とした姿勢だ。
「ああ、勿論だ。『鶏舌』の調査と同時進行で、直接彼にコンタクトをとり、本当に異能持ちなのかどうかを確かめたい。その調査を誰に任せるか皆の意見を聞きたかったのだが……。『蘇合』お前行くか?」
形式上疑問形の形はとってはいるものの、沙也可は相手がどう答えるかなんて既にわかり切っていた。その証拠とばかりに、彼女の口の端はうっすらと笑みを形作っている。
それを承知の上で、竜子も返事を返す。
「おうよ、勿論! 丁度サンドバックが欲しかったところだ!」
ッパンと右手で拳を作り、自身の左手の平に打ち付ける。先ほどまでが檻に入れられた猛獣だとしたら、今は解き放たれた鳥のようだ。飼いならすのが難しい半面、扱いやすくもある。
「目的は調査だ、殺すなよ」
「努力はするよ」
念を押す沙也可に、竜子は軽く返す。そのやり取りを黙って見つめる奈津は、半殺しで済めばいい方かと内心ため息を吐いた。
両調査役が決まりあとは、あとは軽い近状報告を終えて会議は終了となった。皆が席を立ち思い思いに会議室から出て行く。竜子も同様に出口へと向かっていると、再び沙也可に声をかけられた。
「そういえば、現在留置所にいる白石蔵屋が君のことを友人だと言っている。知り合いか?」
その問いに顎に手を添え、数秒考えた竜子だったが思い出すことはできなかったようで首をひねる。
「いや、しらねーな」
冷淡にそう切り伏せ、それで? と聞き返す。その様子に本当に知らないのだと沙也可は納得する。
「いや、聞いただけだ。気にするな。ただの虚言なのだろう」
沙也可がそれだけだと告げる。
捕まった蔵屋はあの後、大人しく連行されたものの、「十種香の石母田竜子と友達だから、私が捕まったって知ったらすぐに助けてくれるんだから」といって騒いで看守を困らせていた。
しかし知らないと突っぱねた竜子だったが、それは正確には間違っている。実際に蔵屋と竜子は同じ中学校出身であり、三年間同じクラスだったのだ。そのことを竜子はキレイすっぱり忘れてしまっているようだが。
竜子の言葉を看守から聞いた蔵屋が、絶望に打ちひしがれるのはもう少し後のことだ。
◆
皆が退室した後、がらんとした会議室に残るのは沙也可と奈津の二人。その表情はどこか両者浮かない。プロジェクターを片付けながら奈津が口を開いた。
「映像に出てきた男性が、実際に異能力持ちだったらどうするの?」
「それは私が決めることではない。女帝のご意志を仰ぐまで、だ」
重々しい口調と同様に彼女の表情もまた硬い。
女性に異能力が現れて早二百年。男性に異能力が現れたことは今まで一度もなかった。だからこそ、もし本当に異能力持ちの男性が現れたのだとしたらそれは由々しき事態だ。間違いなく新たな火種の元となるだろう。それゆえに二人は事態を重く受け止めていた。
しかし実際のところ朝光は、異能力持ちではない。落ちこぼれではあるが魔法使いだ。誰もが魔法を使える、魔法が当たり前の世界線から来た魔法使い。この世界では異例(イレギュラー)だ。その事実を彼女らは知らない。
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