第41話 桜の木の下で
気付くと、私は、大きな桜の木の下に座っていた。
雨が降って、寒くて、身体が震えて、意識があるのかも分からなくて。
もう何が何だか分からなくて。
生きる意味すら思い出せない。
なぜ私はここに立っている?
これ以上、酷い言葉を受けたくない。
ただただ、認められたかっただけ。
矮小な自分に呆れてしまう。
自分に生きている価値なんてない。
意味なんて、どこにもない。
これ以上生きていても、苦しいだけ。
それなら、苦しみから逃れたいなら、死んでしまえばいいじゃないか。
私の頭上には、上着で作った簡素な首吊り用ロープがぶら下がっている。
特に覚えはないけど、恐らく自分で作ったものなのだろう。
ここに首をかけて、
数分経ったら、
私は苦しみから解放されるだろう。
ああ、それはきっと、
幸せなことなんだろう。
―――本当に?
生きる意味を失って、苦しいというのなら、
―――本当に?
これは私の心から願っている。
―――本当に?
だがもし、叶うのならば、
――海人先輩の声が聞きたいな。
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