第4話 図書室に住む同級生

「モテモテだね」


「さっきの愚痴にモテ要素があったか?」


 放課後の図書室は結構穴場だ。

 ほとんどの生徒は部活に行くか、帰宅するかの二択。

 図書室で本を読みに来る、意識の高い生徒はこの学校にはおそらくいない。


 ……そう、俺と彼女を除いては。


「もしかして、私と二人きりになりたかったの?」


「愚痴りたかっただけだ」


「私のことが大好きなのね」


 どう解釈すれば、その発想になるのか全く分からない。

 ふふ、と笑う彼女はまるで魔女のようだ。


「めんどくさい女子は嫌われるぞ」


「ん? 私に嫌われる友達なんていないけど?」


「……なんかすまん」


 俺、なんで謝ったんだ? 


「なら私と友達以上の関係に……」


 ……何言ってんだこいつ。

 完全に俺のペースが乱されている。


「それって……」


「友達以上の関係、つまりお友達になりましょ」


「……」


「以上はある基準を含んだ数値より上であることだから友達も入るってことよ。もしかして、変な期待をさせてしまったかしら?」


 メガネをくいっと上げて、得意げに解説をする。


「超めんどくせぇ」


「褒め言葉ね」


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