第3話 謎の後輩
「人間関係って本当にめんどうですよねー」
「何故お前がここにいる?」
俺が家から近い公園のベンチで呆けていると、中学時代の後輩に喋りかけられた。
高校に入ってからもなぜか頻繁に会う。この公園、別に中学から近くないんだけどなぁ。
「先輩、今人間関係に悩んでいますね。私には分かります!」
「まぁな」
「そうでしょうそうでしょう。目が死んでますからね」
側から見れば献身的で優しい後輩だが、こいつは明らかに俺をおもちゃにして遊んでいる。
だからといって、先輩である俺がこいつに感情的に怒ることはない。
「お前は楽しそうだな」
隣のベンチに座っているおじいちゃんみたいに達観的に質問する。
「全然楽しくないですよ。優越感ってやつです」
「性格が悪いな」
「性根が腐ってる先輩に言われたくありません」
まさか後輩に性根が腐ってると言われる日が来るとは思わなかったな。
……事実だから、全く反論出来ない。
「でも、先輩の悩みはきっと……」
「きっと?」
何かを言いかけるが、謎の微笑を漏らす。
「……おっと、私はこれから用事があるのです」
「そ、そうか」
俺はそれ以上は聞かなかった。
「さようなら、年下女子中学生が大好きで生涯ボッチの先輩」
そう言って、あいつは走り去っていった。
いろいろな疑問と様々な視線を残しつつ、俺は帰宅した。
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