#22 ママだって女の子なんだから

翌日、玲と二人学校への道すがら、昨夜の石黒家でのことを玲が教えてくれた。



玲ママと今回の手紙のことで色々話したそうだ。


最初は僕の書いた手紙のことで玲が玲ママのことを攻めたそうだが、玲ママから「ママだって女の子なんだから、男の子からのお手紙に喜んだっていいじゃない」と言われそれ以上文句が言えなくなったそうだ。


玲の書いた手紙については「玲ちゃんの気持ちがとても丁寧に書かれてて、玲ちゃんの人柄が読み取れるとても素敵な手紙だった」と絶賛されたそうで、「僕もそう思ったよ」と玲ママに同意した。


一生懸命考えて手紙を書いて、それを相手が喜んでくれたのを見てどう感じたか玲に尋ねると「もっと書いてみたくなった。もっと他の人にも書いて読んでもらいたい」ととても前向きな気持ちを話してくれた。


なら熱が冷めないうちに次の手紙を書いてみよう、ということで、今日の放課後当初の目標であった渚先生への手紙を書くことに。






渚先生への手紙を書くのは玲だけで、僕は書かないことにした。


今回の手紙は練習ではなく、他人との交流の切欠を作るための物だ。

もっと言えば、玲が身内の3人以外と会話出来るようになる為の1つのステップだ。


僕はあくまで外野。

渚先生がどこまで玲の相手をしてくれるかはまだまだ不明だけど、渚先生なら大丈夫な気がする。



下書きを書き始めた玲の様子を伺うと、なかなか苦戦しているようだった。

何に苦戦しているのか尋ねてみると「書きたいことが沢山ありすぎて、まとまらないし、どんな順番で書けば良いかも解らなくなってしまった」とのことだった。


僕からは「手紙は何度でも書いて出せば良いし、1回の手紙に全て盛り込む必要は無いと思う。一度書きたい事柄を箇条書きに書きだしてみたらどうか」と提案した。



「やってみる」と玲が言うので、僕は渚先生の住所などの情報を調べるために、玲を自室に残して母上のもとへ相談しに行った。




渚先生は現在も同じ市内に住んでいた。


既に結婚されていて性が変わっており、2年前に妊娠を期に幼稚園は退職されていた。


結婚していることと住所に関しては、過去に渚先生から頂いた年賀状やハガキが残っており、すぐに判明した。


出産と退職に関しては、母上がママ友ネットワークで確認してくれた。

今、渚先生は1児の子育てママさんだそうだ。


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