#19 まるでラブレターみたい、そうだよラブレターだよ


玲の手紙は、まだまだ不十分だと言わざるを得ない。


気持ちはこもっているけども、文章が稚拙だ。

これでは、玲の相手に対する真摯な姿勢が見えない。


なので、手紙の練習は引き続き続行。



次に練習の手紙を出す相手は、玲ママとウチの母上に決めた。


二人には練習だと教えずに、本番のつもりで書くことにした。


玲とここまで話し合って決めたが、玲は両手で握りこぶしを作って「ヨシ」と気合を入れていた。



玲からは、手紙を書いたら僕にチェックして欲しいと要望があったので、まずは下書きから書くことを提案した。



手紙を書き始める前に、前回の反省点や注意点をお互いに確認しあった。

ほとんどが僕から玲への指摘ばかりだったけど、玲は真剣な顔でしっかり聞いてくれた。






下書きを書き終えた玲が玲ママへの手紙から見せてくれた。


僕も母上へ書いた手紙を玲に見せた。



玲の手紙は前回に比べ、かなり良くなったように思う。

前回の反省点から「敬語と漢字を増やす」ことを事前に指摘していたのだけども、国語辞典で調べながら頑張っていた。

文章が不自然な箇所や誤字脱字を数か所赤ペンで訂正を書き込み、玲に手紙を返した。


僕の手紙を読んでいた玲は、なぜか涙目になっていた。

直すところや気になったところは無いか確認したが、「このままのがいい」とのことだったので、玲の言葉を信じてこのまま清書することにした。




次に、玲はウチの母上へ、僕は玲ママへの手紙の下書きを書き始めた。


玲が母上へ書いた手紙は、更に良くなったと思う。

玲は普段から読書ばかりしているお蔭か、文章を作ることに関しては飲み込みが早いと感じた。


あと、玲の二人に宛てた手紙を読んでみて、普段は口に出して上手く言えないだけで、本当は言いたいこと伝えたい気持ちとか、沢山考えていたことを初めて知ることが出来た。

口で上手く言葉を紡ぐことさえ出来れば、玲はもっと沢山会話が出来るのだと確信した。




僕の玲ママへの手紙を読んだ玲は、不機嫌になっていた。

「まるでラブレターみたい」と言われたので「そうだよ、ラブレターだよ」と肯定すると、最初から書き直しを命じられた。





この日は下書きだけで二人とも疲れてしまったので、清書は翌日することにして、夕飯に玲がハンバーグを作ってくれることになった。


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