#16 怒りの玲、ビビるお世話係
作戦会議を再開しようと、玲に視線を送る。
うつ伏せに寝転がりクッションに顔を埋めて足をバタバタさせている。
耳は真っ赤だ。
なんだコイツ、僕が真剣に悩んでいるのに、何一人で乙女チックにテレてるんだよ、昨日嫌がる僕と無理矢理一緒に風呂入ったクセに今更恥ずかしがってんじゃねぇよ、可愛いじゃねぇか。
っと、いかんいかん。
玲見て、キュンキュンしてる場合じゃない。
他人との交流の切欠の話だった。
「玲、起きろ、作戦会議続けるよ」
「・・・・」
「急にどうしたのさ、何か不安になることでもあったの?」
「・・・・・大好きって言ったのに、ジンくん平気な顔してる・・・・」
「なんだよ、そんな事かよ。今更じゃないか。僕は昨日一緒に風呂入ったことの方がよっぽど プギャ!」
僕が言い終える前にガバッと起き上った玲にクッションを全力で顔面に叩きつけられた。
ここ数日間で玲の変化が激しい。
急に狂暴化している。
昨日ウチでバウンドケーキを焼いたときもそうだったが、今まで全く怒ったことの無い玲が僕に対して怒りを露わにするようになっている。
しかも綺麗な顔の玲が睨むと迫力がある。
小5なのに大人よりも怖い。
これは玲が成長しているということだろうか。
それとも元々内に秘めていた一面を表に出すようになったということだろうか。
いずれにしても、玲だって怒る。玲を怒らせると怖い。ということが良く解った。
とりあえず、プンスカしている玲をハグして背中ポンポンしながら「ごめんごめん、僕も大好きだよ」と宥めたら機嫌が良くなった。
玲も大概チョロいな。
その後、機嫌が良くなった玲に、僕のまとめた考えを説明する。
玲曰く
「怖くて相手の顔が見れない」
「怖くなると息苦しくなる」
「でも、3人以外でも怖くない人も居た。幼稚園の渚先生や商店街の八百屋のおばちゃんとか」
ふむふむ、なるほどなるほど。渚先生と八百屋のおばちゃんか。
これは今後進める方向に出来そうだ。
そこまで話し合いをしていたら、玲ママからお昼ご飯出来たよ~とお呼びがかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます