#07 綺麗な顔が、その時だけはブサイクに
泣き虫の玲が、ある事を切欠に泣くのを我慢するようになった。
以前はただ無言で涙を流していたのだが、口をへの字に曲げて目をパチパチさせながら鼻息荒く呼吸し、グっと我慢するのだ。
ぶっちゃけ、その時の玲の顔はとてもブサイクだが、泣かれるよりもマシなので、泣くのを我慢出来たことを褒めるようにしている。
切欠は、小学4年の夏休み、母にお小遣いを貰い二人で近所のコンビニへガリガリくんアイスを買いにいった帰り道。
歩きながらアイスを食べようと袋を破って中身を取り出したのだが、鈍臭い玲は一口も食べることなく落としてしまった。
茫然自失とする玲を見て、泣く前に
「アイス落としたくらいで泣くな!僕のアイスを二人で食べれば良いだろ?もし泣いたら、もう玲とは一緒にお昼寝しないからな!」
と強く言い聞かせた。
玲にとって、夏の午後クーラーの聞いた部屋で一緒の布団で僕と昼寝する時間は、替え難い特別で大切な時間なのだ。
手を繋いだまま寝ることもあれば、泣いた後や不安がある時は僕に抱き着いて寝る。
その大切なお昼寝タイムを人質に、泣き虫を矯正しようとしたのだが、順調に改善へ向かっている。
お人形のような綺麗な顔が、ブサイクになってしまうけども。
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