第4話 告白を成功させたいらしい

 好きです、付き合ってください。あばずれ


 すみません、考える時間を…あばずれぇ⁉えっ今あばずれって言った⁉言ったよね⁉


 言ったよ、ビッチ


 あ~、また言った‼語尾に暴言混ぜるな‼


 え、でも俺、小学生のころ先生に道徳で教わったよ。


 道徳でぇ⁉学校をやめたいのかその先生は‼そして君はその非常識を飲み込むなぁ!


 いやぁ、それほどでも。


 ほめてないよ、逆に貶してるよ‼


 で、告白の返事は。YESかはいかどっち?


 私、逃げ道ないよ、逃げ道用意されてないよ。そしてもちろん答えはNOもしくはいいえだよ‼


 え~、ほんとに好きなのにぃ~


 なんかなよなよしてる。それで、私の何がそんなに好きなの?


 えっと、ほら、あーゆーとことか、え~と


 なんで絞り出してんの⁉さらっと出してよ‼


 あっ、そうだ、まだ君が高校生だった時


 今も高校生だけどね


 荷物が重くて困ってるおばあさんをしばき倒しているときにやばいなこいつと思ってそこから目を追うようになっていた。


 しばいてないよ‼助けてたんだよ‼なんで君の中で私はそんなアグレッシブなの⁉


 良かった、ちゃんと出てきてよかった


 ちゃんと出てないよ‼しっかり捏造されてたよ。そして、それくらいしかいいとこないのか私は‼


 そんなことないよ、ほら、高校生の時の


 だから今も高校生だよ


 高校生の時の…ね


 ないんだったらいいよ‼私帰るから、もうっ


 待って待って、一週間まって出してくるから


 そんなに必要なの⁉てゆうか告白の前に考えてきてよ‼


 ははは、じゃあ


 乾いた笑いでごまかさないで、え、何顔近づけてきてんの⁉


 いや、キスの雰囲気かなって思って


 どの辺が⁉どういった意味でのキスだよ‼


 わかった仮に、100歩譲ってもらって今がキスの雰囲気じゃないとしよう


 君が譲れ‼ 


 俺は君が好きだ、君は俺が好きかはわからない。だから


 どういうこと、何も解決してないよ。顔を近づけてくるなぁ!


 何が不満なの


 いや、不満でしょ、普通に考えて。こんなこと言われるし、ほぼ初対面だし、クラスが一緒なだけだし。


 じゃあわかった一万歩譲って君が俺に不満を持っているとしよう、


 譲りすぎだよ、私の圧勝になるよ。それで?


 ……えっと


 何にも考えがないんだったら喋んないでよ‼


 でも、なんか好きなんだよ。


 なんかって何なの?


 なんだろ、こうなんか好き。


 曖昧過ぎる。


 愛は具現化できない曖昧な存在、いや概念だろ。


 た、確かにそうだけど、君の言う通り愛は形而上的な観念かもしれないけれど、もし可視化できるのなら君の愛は歪だよきっと。


 そうかな、じゃあ


 流されねぇよ、顔近づけてくんな。雰囲気じゃないよ、ダメだよ。ポエムのアルプス山脈並べたって、キスはダメだよっ‼


 ポエムのアルプス山脈?


 確かに変な表現だったけど、繰り返すなよっ。もう帰るよ私‼


 俺がわるかった、謝るから、ほんとにお願い。考えるだけ、ちょっと考えるだけでいいから!


 …はい今、ちょっと考えた。いやだ!


 なんか小学生みたいな回避の仕方してる


 放してよ、もう帰るからぁ


 いやだぁあああ‼



~5年後~



 こんなこともあったね


 うん、確かにそうだけど、風邪ひいてる私に話す話じゃないよね。


 あの後、一夜の過ちで付き合うことになって


 してないよ、そんな過ちなかったよ。しっかり友達から始まって付き合ったよ‼


 あ、そうだっけ。おっ、これ、うまいなぁ、作ってよかった


 私寝るから、砂肝のやつはリビングで食べて。ってウォッカで作ったおかゆの方じゃん、なんでそれなの!まずかったよそれ‼


 もったいないじゃん


 そうだけど…もういいから、静かにしててよ。


 わかった、ここでメタルファイトベイブレードしてよ


 寝させてよ‼‼


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る