第4話 告白を成功させたいらしい

 好きです、付き合ってください。あばずれ


 すみません、考える時間を…あばずれぇ⁉えっ今あばずれって言った⁉言ったよね⁉


 言ったよ、ビッチ


 あ~、また暴言‼


 挨拶みたいなものだよ、イブラヒモビッチ


 あ~、また言っ、てないね。それは暴言でも何でもない人の名前だよ‼というか語尾に暴言をつけるなぁ‼


 え、でも俺、小学生のころ先生に道徳で教わったよ。


 道徳でぇ⁉道徳の解釈違いだよ!常識とは 18 歳までに身につけた偏見のコレクションでしかないとは言ったものだね!びっくりだよ‼


 いやぁ、それほどでも。


 ほめてないよ、逆に貶してるよ‼


 で、告白の返事は。YESかはいかどっち?


 私、逃げ道ないよ‼そしてもちろん答えはNOもしくはいいえだよ‼


 え~、ほんとに好きなのにぃ~


 なんかなよなよしてる。それで、私の何がそんなに好きなの?


 えっと、ほら、え~と、ほらおしいとこまできてる、腸まできてる


 あ、え、口からじゃなくてお尻から出そうとしてるじゃん、てゆうかさらっと出してよ、快便のようにね!


 あっ、そうだ、まだ君が高校生だった時


 今も高校生だけどね


 荷物が重くて困ってるおばあさんをしばき倒しているときにやばいなこいつと思ってそこから目を追うようになっていた。


 しばいてないよ‼助けてたんだよ‼なんで君の中で私はそんなアグレッシブなの⁉


 良かった、ちゃんと出てきてよかった


 ちゃんと出てないよ‼しっかり捏造されてたよ。そして、それくらいしかいいとこないのか私は‼


 そんなことないよ、ほら、高校生の時の


 だから今も高校生だよ


 高校生の時の…ね


 ないんだったらいいよ‼私帰るから、もうっ


 待って待って、一週間まって出してくるから


 そんなに必要なの⁉てゆうか告白の前に考えてきてよ‼


 ははは、じゃあ


 乾いた笑いでごまかさないで、え、何顔近づけてきてんの⁉


 いや、キスの雰囲気かなって思って


 どの辺が⁉どういった意味でのキスだよ‼


 わかった仮に、100歩譲ってもらって今がキスの雰囲気じゃないとしよう


 君が譲れ‼ 


 俺は君が好きだ、君は俺が好きかはわからない。だから


 どういうこと、何も解決してないよ。顔を近づけてくるなぁ!


 何が不満なの


 いや、不満でしょ、普通に考えて。こんなこと言われるし、ほぼ初対面だし、クラスが一緒なだけだし。


 じゃあわかった一万歩譲って君が俺に不満を持っているとしよう、


 譲りすぎだよ、私の圧勝になるよ。それで?


 ……えっと


 何にも考えがないんだったら喋んないでよ‼


 でも、なんか好きなんだよ。


 なんかって何なの?


 なんだろ、こうなんか好き。


 曖昧過ぎる。


 愛は具現化できない曖昧な存在、いや概念だろ。


 た、確かにそうだけど、君の言う通り愛は形而上的な観念かもしれないけれど、もし可視化できるのなら君の愛は歪だよきっと。


 そうかな、じゃあ


 流されねぇよ、顔近づけてくんな。雰囲気じゃないよ、ダメだよ。ポエムのアルプス山脈並べたって、キスはダメだよっ‼


 ポエムのアルプス山脈?


 確かに変な表現だったけど、繰り返すなよっ。もう帰るよ私‼


 俺がわるかった、謝るから、ほんとにお願い。考えるだけ、ちょっと考えるだけでいいから!


 …はい今、ちょっと考えた。いやだ!


 なんか小学生みたいな回避の仕方してる


 放してよ、もう帰るからぁ


 いやだぁあああ‼



~5年後~



 こんなこともあったね


 うん、確かにそうだけど、風邪ひいてる私に話す話じゃないよね。


 あの後、一夜の過ちで付き合うことになって


 してないよ、そんな過ちなかったよ。しっかり友達から始まって付き合ったよ‼


 あ、そうだっけ。おっ、これ、うまいなぁ、作ってよかった


 私寝るから、砂肝のやつはリビングで食べて。ってウォッカで作ったおかゆの方じゃん、なんでそれなの!まずかったよそれ‼


 もったいないじゃん


 そうだけど…もういいから、静かにしててよ。


 わかった、ここでメタルファイトベイブレードしてよ


 寝させてよ‼‼


 

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