第3話

私は、『かぞく』を知らない。

気づいたときから、私は独りぼっちだった。

私の『かぞく』は、みんないなくなったんだって。

お医者さんが言ってた。

空の上にいるんだって。

看護師さんが言ってた。


いつか、『たいいん』して、空の上まで行って、

『かぞく』に会いたい。

あの、たまに空を横切る『ひこうき』に乗って、

『かぞく』のいる空の上まで飛んでいきたい。


元気になって、外に出れるようになって、

そしたら、会いに行けるかな。


でも、お医者さんにそのことを書いたら、悲しそうな顔で微笑まれた。そして書かれた。


『うん。げんきになって、たくさんたのしいおはなしをもって、かぞくのところにいこうね』


ーこの世を楽しみ尽くして、家族に会いに行こうねー


最後はなんて言ったかわからなかったけど、私は『うん!』って書いてうなずいた。


お医者さんは泣きそうな顔で笑って、出ていった。

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