第4話

女の子は、この目の前の部屋に入ってきた初めの頃、

微動だにしていなかった。

ただ、無機質な機械の音だけが、

その部屋に響き渡っていた。


しばらくたって、女の子が動いたとき、

白い服の大人たちは、泣いていた。

笑って泣いていた。


用意していた『トッコウヤク』がよく効いたんだって。


僕は、なんでその人たちが泣いているのかわからなかった。


でも、嬉しかった。


なんでかはわからなかった。


僕が喜ぶのは、散れたときだけって決めてたはずなのに…


でも数日後、白い服の大人たちが絶望を隠せない顔をしていた。


『フクサヨウ』で『チョウカクショウガイ』が残ったんだって。


それが何かはわからなかったけど、悲しくなった。


それから、女の子と白い服の大人たちは『ヒツダン』でお話してるんだって。


僕も字が書けたら、あの子に僕のことを聞けるね。


でもちょっと…怖いな…

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