第11記:海星

 朝の7時に起床。台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。熱いコーヒーを飲みながら、タスケチェスを指した。あれこれやっている内に時が吹っ飛び、気がついたら10時になっていた。

 1週間分の衣類を担いで、近所のランドリーへ行った。幸いなことに、店内は無人であった。洗い上がるまでの時間を、備え付けの本棚に並んでいたおばちゃん向け(だと思う)雑誌を読んで過ごした。


 帰宅後、脱水衣類をベランダの物干し台に干した。再び湯を沸かし、コーヒーを淹れた。愛機を起動させて、ぴよぶっくを呼び出した。ダブンを1頁投稿した。その後、注目作『柳乃さん家の日常』を読んだ。好調が維持されている。面白いし、中身が濃い。俺の『次元鍋』など、比較にもならない。

 棚の上の時計は昼の4時を示している。そろそろ出かける準備を始めなくてはならない。草小説も書きたいし、チェスも指したい。だが、同時に複数の遊びはできない。さしもの俺も体はひとつしかない。心の方は分裂してるけどね。体も心みたいに分裂したら便利だろうな。いや、気持ち悪いか。ヒトデじゃあるまいし。


♞以上は3月25日の日記の一部。湯沸かし器は2年後に壊れる。


 昨夜の例会は盛況であった。天才、準天才が何名も来会した。一方、我が戦績は散々なもので、盛況には程遠い内容(3戦3敗)であった。チェスの結果(結末)は、実にはっきりしている。強い奴が勝ち、弱い奴が負ける。運や地位や柵(しがらみ)の影響を受けない純粋な勝負。

 とは云え、負けるのは面白くないし、気持ちの好いものでもない。チェスが第一の趣味でなくて、本当に良かったと思う。もし第一ならば、撤収退散を考えねばならないところだ。素質も才能も皆無の有様。


 帰宅後、シャワーを浴びてから、夕飯と晩酌を同時にしたためた。歯を磨き、戸締りの確かめを行ってから、再生機の中に動画(アニメ)の円盤(DVD)を滑り込ませた。近所迷惑になるといけないので、イヤホンを使った。1週1枚のペースで観てきた『お伽草子』も、これが最後の盤となる。第二十五幕「鬼門」と第二十六幕「都」を続けて観た。

 物語としては、第二十四幕「万世橋」で終焉しており、二十五と二十六は、番外篇的要素の濃い内容になっている。どちらも面白かったが、後者の方が俺の好みに合う仕上がりであった。


♞以上は3月26日の日記の一部。

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