第10記:新作

 台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。湯が沸くまでの時間を使って、居室の壁際に吊るしてある大量の脱水衣類(昨日の夕方に洗ったもの)を、ベランダの物干し台に干した。

 熱いコーヒーを飲みながら、タスケチェスを指す。対戦相手は「レベル9の美夏」である。先手(白)美夏、後手(黒)鍋太郎で対局を始める。

 数局指したが、なかなか勝てない。美夏が強いのか、俺が弱過ぎるのか。白キングをチェックメイト寸前まで追い込みながら、肝心のところで間違えたりする。詰め将棋も苦手だったけど、どうやら、詰めチェスも駄目らしい。


 稽古後、愛機を起動させて、ぴよぶっくを呼び出した。柳乃奈緒さんの新作が始まっていた。タイトルは『柳乃さん家の日常』。カテゴリーは「ノンフィクション・体験談」。ファン限定の作品である。

 自作の参考にしたいという思惑も秘めつつ、楽しく読ませてもらった。これは凄い。俺には書けない文章であり、文体である。じゃあ、お前はどんなものが書けるんだ?と、訊かれたら、返答に困ってしまうが……。


♞以上は3月20日の日記の一部。チェックメイトは将棋の詰みに該当する。


 眼が覚めた。枕辺の時計は「朝の6時」を示している。今日は平日だが、不思議なことに休みなのだった。昨日は出勤した。世の中が休んでいる時に働き、世の中が働いている時に休む……のが、好きである。俺の流儀になりつつある。と云うか、気がついたら、そうなっていた。

 台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。今週の金曜と土曜は外出の予定なので(金子の節約も兼ねて)今日は篭城に徹することにした。篭りの準備は万端整っている。コーヒーを飲みながら、タスケチェスを指す。


 愛機を起動させて、ぴよぶっくを呼び出す。最注目作である『柳乃さん家の日常』を読む。実に面白い。何気ない文章だが、こういう文章が一番(書くのが)難しい。描写も緻密で、情景(映像)が頭に浮かんでくる。これは良い。読み手としても、書き手としても、得るものが多い。オススメの作品である。是非読んでください。

 その後、ダサク1頁とダブン1頁を投稿した。前者はかなり異様な内容になっている。進化か?退化か?こんなものを書き出した(書いている)自分に驚く。後者はほとんど考えない。筆の勢いに任せて、一気に書き上げた。


♞以上は3月22日の日記の一部。

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